崩される四天王
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ソには」
彼女はこう考えた。彼は冷静さを欠いた自分を誘き出して、その一瞬の隙をついて仕留めようとしているのだと。
「待て!!本当に生きておるんじゃ!!」
「その手には・・・」
上体を捻り、右手に魔力を溜める。彼女はそれを払うように目の前の男に放出した。
「乗らないわよ!!」
その手から放たれた強烈な一撃がウォーロッドを襲う。あまりの攻撃力に防御体勢を取ることもできなかった老人は地面を転がり、動けなくなっていた。
「私がどれだけあの子のことを愛していたか・・・それを利用するなんて・・・」
怒りで顔が赤くなっているリュシーはウォーロッドの元へと歩み寄る。彼女の痛烈な一撃に寄って動けない彼は荒い呼吸の中、ある少女のことが脳裏を過っていた。
「メイビス・・・」
天狼島で出会ってから共に冒険し、妖精の尻尾を立ち上げたギルドマスター。彼女の妖精のような笑顔を思い出し、彼は目を閉じる。
「もう一度お前の笑顔が見たかった」
「私もあの子の笑顔が見たかった。でも見れないのよ。あなたたちのせいで」
ウォーロッドの頭に手をかけ魔力を解放する。その時老人の脳内に浮かんできたのは、これまで共に歩んできた仲間たちの姿だった。
(ユーリ・・・プレヒト・・・私もお前らの元に・・・)
トレジャーハンターだった頃からずっと行動を共にしてきた2人。先に旅立った彼らのことを思い出し笑みを浮かべるウォーロッド。その首は、怒りを滲ませた女性の一撃により、跡形もなく吹き飛んだ。
「!!」
その時、メイビスは思わず東の方角を振り向いた。彼女は胸騒ぎの中、大好きだった仲間のことを頭に浮かべていた。
「ウォ・・・ロッ・・・ド・・・」
肩から先がなくなった体を見て地に伏しているハイベリオンは体を震わせた。共に戦争を回避しようと尽力してきた同士が落ちたことは、心を抉るような苦しみだったに違いない。
「貴様・・・許さんぞ・・・」
動けないハイベリオンの横でゆっくりと立ち上がったのは体を貫かれたはずのウルフヘイム。彼は再度接収し、リュシーに襲いかかった。
「私もあなたたちを許すことはできない。そしてそれは・・・」
ウォーロッドの体に正面を向けていた彼女は腕だけを敵に向ける。強大な魔力を小さく集約した球体を打ち出すと、今度はウルフヘイムの体全てを飲み込み、一瞬で彼を消し去る。
「ウルフヘイム様!!」
彼女の足元で偉大な四天王の名前を叫ぶジュラ。リュシーは彼を見下すような目を向けると、僧のような頭を踏みつける。
「ジュラ・・・本
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