崩される四天王
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つあった。
「そう、じゃあさ・・・」
わずかに見えている口元から、青年が何かを企んでいるのを察した。グラシアンは身構えるように体勢を整えたが、それは必要がない行為だった。
「こうすると、君はどうなるのかな?」
人差し指をホッパーへと向けるティオス。そこから放たれた黒い水が、男の体を貫いた。
「がはっ・・・」
胸元を貫かれたことで吐血するホッパー。グラシアンやその場にいた魔導士たちは何が起きているのかわからず、呆然としていた。
「ティオス様・・・これは一体―――」
意味がわからず上長を見上げたホッパー、隙間から見えた表情に固まった。口元は笑っているのに、目は決して笑っていない。まるで人を殺しすぎた大量殺人犯のような、冷徹な目をしていた。
グサッ
人差し指から再度放たれた魔力が青年の頭部を突き抜ける。その瞬間、それを見ていた連合軍、アルバレス軍が目を見開いた。
「これで謝罪させることはできなくなったけど、どう?気分は?」
周りが引いていることに気が付いていないのか、冷静な様子のティオスが面白そうに問い掛ける。が、グラシアンはそれに答えない。
「お前・・・仲間じゃなかったのかよ」
恐怖し萎縮していたはずの幻竜は怒りの眼差しを向ける。それを見せられたティオスは呆れたような雰囲気を醸し出す。
「仲間?これが?随分面白いことをいうね?」
血の海に沈んでいるかつての部下に視線を落とすこともせず、彼は胸に手を当て言葉を紡いだ。
「こいつらは“道具”だ。俺が目的を果たすためのね」
その瞬間、グラシアンの魔力が最大限まで高まる。ティオスはそれを待っていたかのように舌なめずりする。
「仲間を大切にできねぇ奴に、俺は負けねぇよ」
「さぁ?それはどうかな?」
ターゲットを修正し格上とのバトルに挑むグラシアン。雪が舞い降るその地の気温は、さらに低くなっていった。
「え?・・・生きてる?あの子が?」
拓けた平野で戦いを繰り広げていたリュシーとイシュガルの四天王withジュラ。その内の1人、ウォーロッドの口から発せられた言葉に、リュシーは動揺していた。
「そうじゃ」
リュシーの問いにうなずくウォーロッド。それを聞いた瞬間、彼女の目から涙が零れ落ちる。
「どこに!?あの子はどこに・・・」
興奮して詰め寄ろうとした彼女は一歩踏み出したところでその足を止める。彼女は思い出していた、あの時起きた惨劇を。
「・・・なるはど、そういうことね」
涙を拭い、木のような姿の老人を睨み付ける。その目はついさっき見せたばかりの優しげなものとは違っていた。
「騙されないわよ、そんなウ
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