崩される四天王
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フィオーレ北部、ここでは剣咬の虎のグラシアンの快進撃が続いていた。
「幻竜の・・・鉄拳!!」
ドラゴンフォースにより竜の力を手に入れた彼の重たい一撃。それはすでにアザだらけとなっている敵に容赦なく突き刺さっていく。
「そんなことをしても、彼女は帰ってきませんよ」
挑発のつもりなのか、はたまた何か意図があるのかはわからない。それでも、その言葉は彼の怒りを増幅させることには間違いない。
「そんなことはわかってる!!俺がやりたいことはたった1つだけだ!!」
地面に落ちていく青年に馬乗りになる。彼は胸ぐらを掴み彼の上体を起こさせると、額をぶつけ自分のやりたいこと伝えた。
「あいつの墓の前で土下座させてやる!!俺と一緒にな!!」
あの爆発の後、グラシアンは彼女の墓をある場所に作った。そこは以前彼が彼女と・・・その仲間たちと出会った思い出の地。
「そんなことで彼女が喜んでくれればいいですが、どうでしょうね?」
「喜ばなくてもいいよ。ただ、笑って見ててほしい」
目を閉じれば思い出す彼女の笑顔。二度と見ることができないそれは、彼の胸の奥底に仕舞い込む。
「そんなことのために、バカみたいになれる俺を」
自己満足なのは彼にもわかっていた。それでも止めることができないこの感情。ホッパーの意識がなくなるのも、時間の問題だった。
パチパチパチパチ
常軌を逸した彼の猛攻に多くの者の手が止まっている中、突然響き渡ってくる拍手。それが何なのかグラシアンたちにはわからず、彼は手を止めそちらを見上げる。
「実に感動的ですね、グラシアン・カイザー」
その男が登場してきた瞬間、グラシアンの背中に鳥肌が立った。いや、彼だけではない。近くにいた魔導士たちも、そこから離れたところにいた者たちも全員が恐怖した。
「ティオス様!!」
「来てくださったのですね!?」
ティオスと呼ばれた男の登場に沸き立つアルバレス軍。彼はそれを無視してホッパーとグラシアンの元へと歩いていく。
(なんだ?こいつ・・・匂いが・・・)
近付いてくる男が通常の人間と違うことを察したグラシアンはホッパーを離し距離を取る。黒装束で顔を隠している彼は上体を起こすのがやっとのホッパーの前に立った。
「ティオス様、すみません・・・醜態を晒してしまって・・・」
申し訳なさそうに謝罪するホッパーだが、彼のことを無視してティオスと呼ばれた男はグラシアンに話しかける。
「グラシアン、君はこいつに謝罪させたいと言ったね?」
「あ・・・あぁ・・・」
額から吹き出してくる汗が止まらない。今まで戦ってきたどの魔導士よりも遥かに高い魔力を持っている敵を前にして、グラシアンは恐怖を感じつ
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