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ハイスクールD×D 〜赤と紅と緋〜 日常風景のショートストーリー
士騎兄妹の休日 千秋篇
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かもしれない。そうなると、今回のデートで安らげたのなら幸いだった。
 私はふと、イッセー兄の左腕に視線を向ける。見ると、イッセー兄も自分の左腕を見ていた。
 イッセー兄は婚約パーティーに乗り込み、部長の婚約者であるライザー・フェニックスから部長を取り戻すために、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』に宿るドラゴンに左腕を差し出して一時的に強大な力を手にした。
 その結果、イッセー兄は部長を取り戻すことはできたけど、犠牲にした左腕はドラゴンの腕という異形なものになってしまった。
 イッセー兄自身は後悔も未練もなく、明日夏兄が見つけてくれた方法でとりあえず見た目だけは元の人の腕に戻っていた。

「千秋?」

 イッセー兄に呼ばれてようやく、私がいつの間にかイッセー兄の左腕に手を伸ばして触れていたことに気づいた。

「・・・・・・もう、この腕はイッセー兄の腕じゃないんだよね?」
「・・・・・・ああ」

 たぶん、いま私はとても辛そうな表情をしていたと思う。

「・・・・・・ねぇ、イッセー兄・・・・・・」
「・・・・・・なんだ?」
「・・・・・・もし、部長や仲間の誰かが危険な状態になって、どうしようもなくなったら・・・・・・」
「また、あの鎧を着るよ」

 ためらいなく答えたイッセー兄に私は泣きそうになってしまう。
 イッセー兄はとても誠実なヒトだ。その誠実さは、ときに自分の身を犠牲にしてでも近しい人を守ろうとする。
 鶫さんと燕がいじめられているときに、その身を挺して庇ったりした。そのときの私は泣きながら必死にイッセー兄のケガの手当てしたことを覚えている。
 アーシアさんのときも、命を捨ててまで助けようとした。
 そして、部長のためにレーティングゲームで戦い、危うく死にかけて、二日間も眠ってしまうことにもなり、目覚めたらすぐに部長を助けに向かい、左腕を犠牲にして部長を助けた。

「鎧を着ずに解決──ていうか、何事もないのが一番なんだけどな。でも、本当にどうしようもないとき、俺の体の一部であの力を手にいれて、部長や仲間を助けられるのなら、安いもん──」
「安くないよ!」

 あまりにも簡単に言うイッセー兄に思わず叫んでしまった!

「もう無茶はしないで! アーシアさんのときは命を捨てようとして、ゲームのときは死にかけて、部長のために片腕を差し出して!」
「・・・・・・ゴメン、本当に心配かけて」

 イッセー兄の服をギュッと掴み、泣きながら必死に告げる私にイッセー兄はやさしく頭を撫でてくれる。

「でも、心配かけちまって悪いけど、取り返しのつかないことになるのは本当にいやだから。もちろん、死ぬ気はねえよ。命は惜しいからな」

 やさしく告げるイッセー兄に私は言う。

「──じゃあ、ひとつ
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