桐生編
第一章 狙われた女
第一話 噂
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うなだ》れた。
少ししてようやく柏木が合流すると、穏やかだった空気が一気に張り詰める。
全員が揃いソファーに座ると、怖い面持ちの柏木が口を開いた。
「今、3代目襲名披露の為の準備でお前らがここに来ているのはわかってる」
「忙しい堂島組長の代わりに、俺と錦が本部に駆り出されたと聞きましたが……」
「そうだ。しかし世良……3代目がある噂を聞いたらしく、それがお前らに関係があるからここに呼び出したのもある」
数時間前、世良が柏木を呼び出し伝えた噂話。
信憑性はあるような無いような薄い話だが、もし本当だったとしたらそれは1人の命を危険に晒すに等しい話だった。
それはここに居る桐生や錦山、風間にも関わっている人物。
「澤村 由美が……極道組織に狙われている」
2人に衝撃が走った。
風間が経営する孤児院、ひまわり。
そこで育った桐生と錦山、そしてずっと共に過ごした少女。
それが、澤村由美だった。
訳が分からず困惑する2人に、風間は言葉を投げかける。
「この話が真実だろうが偽物だろうが、お前たちは由美を守ってやってくれないか?」
極道世界に関係の無い、堅気の世界の人間。
平和に暮らしているはずの由美が、何故か極道組織から狙われている。
「由美が狙われてるなんて冗談じゃない!!俺らが本当かつきとめて、由美を守ります!!なぁ?桐生!!」
立ち上がって力説する錦山に同調する様に、桐生ら首を縦に振った。
由美を、極道世界に巻き込むわけにはいかない。
桐生の心は、その決意で満たされていた。
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