暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
ペルソナ3
1971話
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も決して無理ではない筈だった。
 ただ、美鶴個人ならともかく、桐条グループの力を借りるということに、ゆかりが素直に頷けば、の話だが。

「取りあえず……夏休みなんだし、身体を休めるって意味でゆっくりとするか。わざわざ人の多い場所に行って汗だらけになりたくもないだろ?」
「高校生らしい夏休みとは言えないけど……ね」

 そう言いながら、ゆかりも俺の提案にそこまで反対な訳ではないのだろう。
 俺の隣にやってくると、ゆっくりと身体を預けてくる。
 元々ゆかりは母親の一件もあって、恋愛関係に関しては嫌悪感すら抱いていた。
 それが今じゃこの様子だ。

「なぁ、ゆかり」
「……何?」
「もし数ヶ月前……それこそ俺に会うより前のゆかりが、今の自分を見たらどう感じると思う?」
「そうね。……私が洗脳でもされてるんじゃないかって疑うんじゃない? もしくは、私が偽物だと思うかもしれないわね。あの頃の私は……半ば、意地になってたから」
「じゃあ、今はもう意地になるのをやめたのか?」
「……お母さんの事はまだ許せないけど、人を好きになるってのは分かったかしら。ただ、お母さんの場合は人を好きになるんじゃなくて、現実から逃避する為に男の人に逃げてたって感じだったから。……それは、好きとは少し違うと思うのよ」

 そう言いつつも、ゆかりの母親に対する気持ちは以前と比べると大分軟化しているように思えた。
 それがいい事なのか、悪い事なのかは分からないが……それでも、俺はゆかりとこうして一緒にすごす時間を楽しむのだった。
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