提案-プロポサル-
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気が付けば、薄暗い密林の中にいた。
森の中をただひたすら進み、その果てに彼は夕日に照らされた石造りの遺跡にたどり着く。
遺跡には、不思議なことに見覚えがあった。でもいつあの遺跡を見たのか、それがわからない。
何かに引き寄せられるように、その遺跡へと足を踏み入れた。
石造りの建物の中は、壁にかけられた松明の炎で照らされていた。それは奥の方まで深々と続いていた。見えない何かに導かれるまま、その奥へと進んでいく。
遺跡の奥へとたどり着くと、奇妙な石像がそこに安置されていた。何を象っているものなのかはわからないが、その石像が自分を吸い寄せているような気がした。
手を伸ばし、その石像に触れてみる。すると、石像は青白く輝き、全てを光に包み込む。
景色は一瞬にして変わった。青い波紋が流れる黒い空間の中を漂っていた。
周囲を見渡していると、目の前にうっすらと、光を帯びた巨人が姿を現した。
お前が呼んだのか?そう言おうとしたときだった。
一瞬だけ光の巨人の姿が、別の何かに見えた。その姿はどこか見覚えがあって、それでいて恐ろしい…
それはまるで…
「今度こそ決着をつけさせてもらうわ!」
「望むところよ!」
突然耳に入ってきた怒号が耳に入り、シュウは目を覚ました。
「な、なんだ?」
「あ、シュウ起きた?」
目を覚ましたシュウに気が付いて、愛梨や憐が顔を覗き込んでくる。
人がせっかく気持ちよく寝ているときに…大声で起こされた苛立ちを募らせながらも、目に入った連中に注目する。
「…またあいつらか」
見ると、二人の女子生徒が、シュウたちのいる屋上にかけ上がってきた。なにやら険悪な雰囲気で、二人とも相手に対して激しい敵意を見せている。ルイズとキュルケの二人だ。
「にしても、あの二人これで何度目?あのルイズって子が転校してからここしばらく、いつもあんな風に喧嘩してるよな」
ここしばらくの間、二人が幾度も喧嘩を繰り返していることに憐はやや呆れ気味だ。
「…ここしばらく?」
「どったの?」
シュウは、憐の言った『ここしばらく』という表現に違和感を覚えた。
「いや…昨日会ったばかりだった気がするんだけど」
自分の記憶が正しければ、あの歩道橋でサイトと激突した日、つまりルイズが転校してきたのは…昨日だった気がする。
「そう?もう何日か経ってるぜ」
だが、シュウの口にした疑問に対して尾白がそう答える。彼の口から出た日数に、そんなに時間が経ってたのかとシュウは内心驚いた。
「おい、やめろよ二人とも!!」
すると、ルイズとキュルケに続いてもう一人の来訪者が屋上に駆けあがってきた。これまたこの前の朝に見た顔、サイトだった。
「サイト、ちょうどいいわ。この女をとっちめるの手伝いなさいよ!」
「ダーリンなら、あたしの味方
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