提案-プロポサル-
[10/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
っと予想以上の犠牲が出ていたことでしょう」
口惜しそうに、アンリエッタは俯いた。
「私の頼みを受け、タバサさんはビーストの処理を担ってくれました。ですが数が多くなりつつあり、このままではビーストの増殖を阻止できません。事態は…正直悪化の傾向にあると見るべきでしょう」
「なぜ君たちだけだ?ビーストの存在を警察や自衛隊に公表し対策を練らせるべきじゃないのか?」
シュウはおかしいと思った。あんな怪物をなぜ世間に知らしめないままなのだ。いや、世間を相手に隠すというのならまだわかるが、せめて政府や軍の関係者に存在を知らせるのが通ではないのか、とシュウは考えた。
「いえ、残念ですが…それはできません」
だがアンリエッタは首を横に振ってきた。
「なぜだ!?」
納得できない声を上げるシュウに、アンリエッタが理由を明かした。
「先輩、ビーストは恐怖のエネルギーを求め、それを捕食することで繁殖するのです。それも、高度な知性から発する恐怖は濃度も量も多い。人間を襲うのも…そのためです。そして人間のビーストへの恐怖が高まり秩序が乱れれば、人々は恐怖を高め、さらにそれがビーストを繁殖させるポテンシャルを高め、またビーストが増殖してしまう」
「じゃあ、誰かに教えて、万が一その人がバンニップ…ビーストのことを信じたら…寧ろかえって危険ってことか?」
「そういうことです。しかもやつらは学習能力も成長率も高い。現代の通常兵器でも傷を与えるのは難しいでしょう」
ぞっとした。ビーストに対抗しようとしたら、逆にあいつらを増やしてしまうと言うことになるのか?アンリエッタはさらに説明を続けた。
「ビーストは元々ごく小さな生命体です。その危険性をいち早く気づいたのが、数百年前、当時戦国時代の私の家系の者でした。代々私の家系はビースト退治の術を用いてビーストを処理していました。しかし、ある時期を境にそれが不可能なほどに追い込まれてしまった…」
「ある時期?」
急に戦国時代の話とか、ずいぶんと時代を飛ばしてきたものだ。何か関係でもあるのか?
「黒い巨人が出現し、ビーストに加担したのです」
「黒い巨人?」
「その巨人は狡猾にも、当時天下統一を目指していた一国の主に憑依し、他国との戦争の兵器としてビーストを利用したのです」
「戦争の、兵器…!?」
愛梨が目を見開く。あの時の化け物が戦争の兵器として利用される。どんな影響をもたらすかなんて想像に容易かった。
「戦国時代に兵器として使われ、戦争を利用して恐怖のエネルギーが高まってビーストはさらに大量発生し、日本を中心に世界は滅亡の危機に追いやられた。
ですが、そんなときでした」
シュウはまだアンリエッタが話を続けていること、バンニップ…もといビーストという驚異が本物であること、そしてそんな怪物がいながら世界がなぜ自分達の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ