提案-プロポサル-
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さて、サイトが図書室にてギーシュらに相談していた頃…シュウは、サイトとコルベールが去った後の生徒会室へ、アンリエッタの要望通りに来訪していた。
「こうして話すのははじめてですね。ご存知だと思いますが、生徒会長を務めるアンリエッタ・ド・トリステインと申します」
「…黒崎修平。3年だ」
とりあえず自己紹介するシュウは、さっきのアンリエッタの先ほどの言い回しとともに、記憶が飛ぶ直前までの出来事を思い出した。
「そうだ、あのナメクジのような化け物は?」
「安心してください。あなた方を襲った個体はすでに滅びました」
「滅んだ?」
「しかし、本当に危ないところでした。まさか、あれほど成長した個体が襲って来るなんて…先輩方がご無事で何よりでした」
ほっと一安心しながら、この場にいる全員にひとつずつお茶を入れたお椀を渡したアンリエッタは、改めてシュウに向き直った。
記憶がはっきりしてきた今、シュウは思い出した。思い出すだけで背筋が凍りつくような、あんなおぞましい化け物を、いったいどうやって倒したのだ?
…いや、過ぎたことよりも、もっと根本的なことが気になった。
「君は…君たちはあの化け物のことを知っているのか?」
襲われたあの時、タバサが自分と愛梨を守るために現れたため、知っているのはアンリエッタだけではないことを察した。あのような怪物、世間の目に触れれば間違いなく何かしらの話題で形に…いや、待てよ…。
噂という形でなら聞いたことがある。遊園地のバイト中、尾白が女の子たちに振った話の話題に、似たような内容だ。
「まさか…あれが、噂の怪物バンニップ?」
アンリエッタがその問いに対して頷いた。
「ええ、世間ではそのような都市伝説として語られていますね。奴らは宇宙から飛来した怪物…私たちは『スペースビースト』と呼んでいます」
「スペース、ビースト…?」
あんな怪物が宇宙から来たというのか?確かに地球上であんな生物がいるとはにわかに信じがたいが…。
「最近、夜間中の街にて何度か行方不明事件があったのをご存知ですか?」
「…まぁ」
「ニュースでは犯人が不明の未解決事件として扱われていますが、実際はあのような魔物が数多く現れ、夜の闇にまぎれて人を捕食しているのです。その数は私たちでも把握できていません」
「あの怪物が、まだ他にもいると?」
アンリエッタは頷いた。信じられないが、これが本当だということなら、あまりにも恐ろしいことだ。夜にも街に人々は存在している。夜という視界の悪い状況、ただでさえ不審者でも危険なのに、あんな人外が出ては災害クラスのパニックだ。
「これまで私たちは、あの怪物が世間に存在が明かされる前に、ごく小型のうちに何度も仕留めてきました。しかし、あそこまで成長した個体を見逃していたとは…私たちの目の届かない場所で、き
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