第五話 INグレンダン(その3)
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ないようですが、こんな所で立ち話するような事じゃありませんし中へ行きましょう」
クララの提案に皆頷きルッケンス本邸の客間に通される。
出されたお茶を飲み、ひとまず落ち着いたところで口を開いたのはゴルネオだ。
「なぜシャンテがこんなにも成長したのかは俺にはわからん。理由があるとすればツェルニとグレンダンが接触した時、出会った男が何かした事しか思い当たらん」
「それでその男というのはどんな奴だったんです?」
黙って聞くニーナの横でクララが続きを促す。
「赤い髪の鉄鞭使い。一振りだが鉄鞭というより鉄棒と言った方がいいほどのものだ。それに何か獣のようなモノ、ヴェルゼンハイムとか言っていたが」
その言葉に何故クララが自分を連れてきたのかを理解する。
「思い当たる節があるでしょう?」
「ああ、ある。というか間違いないだろう」
赤い髪の鉄鞭使い、というだけなら他にもいるだろうがヴェルゼンハイムと関わる者など一人しかいない。
「ディクセリオ・マスケイン。私達より十数年前に過去最高の成績でツェルニの武芸科を卒業した先輩です」
「少し待て、どう見てもそんな歳には見えなかったぞ。二十前後といったところに思えたが」
十数年前の人物であれば最低でも三十前半には至っているはず、だがゴルネオの目にはどうしてもそのようには映らなかった。
「ええ、ですがツェルニにちゃんと記録も残っています。何故外見が変わっていないのかについては私には分かりませんが」
時に己自身を賭けて戦わなければならない事もあったが恩人と呼べる相手である。とはいえディック自身の経歴については全く知らないといっていい。
最初に出会った時は現役のツェルニの先輩だと思った。雷迅を教えてくれ自身の悩みに対しアドバイスをしてくれる頼りになる先輩だと。だがそんな事を話すような緩い空気で再会することは無かった。
「まあその人がどんな人かってことはそれほど重要ではないでしょう」
違いますか、というクララにゴルネオも頷く。
「そうだ、シャンテに何をして何が起きたのか、まだ何かあるのかが知りたい」
そうしてゴルネオが語ったのは自身が知るシャンテとその異変について。ハトシアの実によって一時的に成長したこと、グレンダンで再び成長したシャンテが男に打ち倒され謎の仮面にエネルギーを吸われたように見えた事、を。
ゴルネオが語り終わると三人の視線がニーナに集まる。主観的には巻き込まれただけのゴルネオとシャンテはもちろん、クララも狼面衆と争ってきたとはいえ全く関わりにならないようなことまで知っているわけではない。
ニーナはその視線を受けても何も答えることなく瞑目する。
ニーナにとってシャンテの変化は初耳だった。ドゥリンダナとの戦いの後シャンテが入院していた事、そして年度が替わる前に退院し
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