第五話 INグレンダン(その3)
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衆に支配されていた人ですよ。ちょっと待ってください」
ニーナの手を払うと会話を続けていく。
「彼女たちは今どちらにいますか」
「奥の部屋で調整中ですよ。何でもかなり注文の厳しい方がいるらしく最近は籠ってばかりですわ」
「ありがとうございます。それでは少しお邪魔させてもらいます」
ニーナに合図して奥の部屋へ向けて歩みを進める。ニーナも慌てて続きながら燻っていた疑問をぶつける。
「クララ、何故ここなんだ? 私が会いたいと言ったのはルシャさんだぞ」
「勿論わかっていますよ、だからここなんです。あの人はルイメイ様の正妻、ルシャさんは妾。全く縁が無いわけじゃないでしょう」
「それはそうだが……」
以前ルシャの住まいはといえば普通から少し下がった程度の家だったのが、高級住宅となっていれば驚いても当然だと思う。それに正妻が狼面衆に支配されたのは妾であるルシャが子を産んだことに対する嫉妬が原因だったからだ。
にも関わらず同じ家に住んでいることに驚くのも無理は無い。
「今は仲良いですよ。あれでこう……澱んだ気持ちを吐き出したらしいです。それにルイメイ様が亡くなってしまいましたからね。忘れ形見だって思いが強いんじゃないですか」
「そうなのか、それでいいなら私がどうこう言う資格があるわけでもないしな。ところでクララはルシャさんと親しいのか?」
迷わずここへ来たという事は知り合いだろうかと思う、彼女は錬金鋼整備士だと言っていたのでその線で知り合う可能性は十分にある。
「いいえ、一度も会ったこともありませんよ。私の担当でもありませんし」
だが答えは予想外の接点無しという事だった。
「ルイメイ様の一粒種で武芸者、将来有望でグレンダンとしてマークしている相手ですからね。私個人としては知りませんけど、女王代理としては把握しているって訳です」
有望な武芸者や親が優秀な武芸者は幼いころから都市がチェックしていく。そういう事もあることを今のニーナは知っている。そして自身もまたリスト入りしていただろうことも。
案内された先の扉を召使がノック訪いを告げる。
「ああ、いいよ。入って」
返ってきた言葉に扉を開ける。今度はクララではなくニーナが先に立つ。
「お久しぶりです、ルシャさん」
「あんた、ニーナじゃないか。何時こっちに来たんだい、というかよくここに居るってわかったね」
マルクートと遊んでいたしきルシャが顔をあげる。ニーナがここに居る事への疑問にはニーナ以外から答えが返る。
「私ですよ」
クララの方を向くとしばし考え込んだ後、ハッと姿勢を正す。
「クラリーベル様とは確か初めてになりますね」
「いえいえ、気にしないで構いませんよ」
そんな風に言葉を交わす二人をニーナが僅かな感慨を持って眺める。
「どう
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