第五話 INグレンダン(その3)
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どグレンダン史上現れたことは無い。また名付きの老生体でもなければ苦戦することのない彼らが戦場で危険を感じることは極めて少ない。
つまり天剣とはグレンダンの民衆の憧れの的であるが、本人達には教導の義務もなく、日々を自己鍛錬に充て老生体の襲来を待ちつつ何もせずとも暮らしていくのに十分な給料を貰える楽な役目、という事も出来る。実際ルイメイなどは武門に属さず天剣としての収入しかないにも拘らず巨大な屋敷を維持していくのに金銭面で苦労したことなど無かった。
クララはまだレイフォンという目標の一つが近くにいることになるので歓迎ムードだが、フェリの表情は険しくなった。その雰囲気を感じ取ったのかレイフォンの肩がビクッと震える。
「陛下、僕はまたグレンダンから出るので天剣になることは出来ません。それに僕がツェルニで探したのは武芸者以外の生き方です」
今度はクララが残念そうに、フェリは険しかった顔をもとの無表情に戻した。とはいえ口の端が微妙に緩んでいて纏う空気は柔らかくなった。その変化をレイフォンは感じとり、あからさまにホッと息を吐いた。
「ん〜、残念と言えば残念だけどあんたがきっちり自己主張できるようになったのは成長と言っていいわね。それでどんなことを学んできたわけ?」
「ええと、口で説明するのは大変なので見てもらってもいいですか?」
「ええ、構わないわよ。あんたが武芸者以外の生き方を探した結果を見せてくれればそれでいいわ」
そこには何とも微妙な空気が漂っていた。満足げなレイフォンに対し呆気にとられたというよりどういう表情を作っていいのか迷うアルシェイラとクララにリーリン、そして頭痛を堪えるかのようなフェリ。
「ねえレイフォン。これが……レイフォンがツェルニで六年を掛けて学んできたことなの?」
リーリンが否定して欲しそうに震える声を出すがレイフォンはなぜそんな声を出されるのか解らないのだろう、笑顔で頷いている。
「レイフォン、あなたって人は……」
絶句するクララの横で動いた者がいる。
「あんたはアホか!」
怒声と同時にレイフォンの姿が消える。
同時に木々が折れ、薙ぎ倒されることでリーリンはレイフォンが吹っ飛ばされた事を理解する。レイフォンが飛んで行った方向とは反対側を見ると拳を振り抜いたアルシェイラがいる。女王がその衝剄でもって打ち抜いたのだと。
そんなことを思っている間にアルシェイラは土煙の先へ歩み寄るとレイフォンをむんずと掴んで引きずり出す。
「あんたが武芸者以外の道を選ぶっていうのはいいけどね、学園都市に六年もいて学んだ結果がそれなわけ? 家畜をうまく扱えます、ってそれだけなの?」
一口に一般教養科といっても幅広く、ツェルニではカリアンの司法研究科からフォーメッドの養殖科、ハーレイの錬金科に至るまで武芸科以外の
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