超能力のある杉の樹
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ハッ、ハッ、ハッ……。
種を明かせば、至極簡単だ。
先にも述べたように、超能力を自在に操作できるから、人間界で作家と呼ばれる種類の鼻持ちならぬ偉い先生を使って、自在に意思を操り書かせているのだ。現在では、万年筆で原稿用紙に書く作家は珍しい存在で、PCを自由に操作して創作しているのが普通である。紙を使わずに済む電子書籍の時代が到来している。携帯小説が普及しており、さらには、アメリカのアップルコンピューター社に端を発した、PCとしても使用可能な機種が続々と出ているのが、現状である。
さらに、人の約三十億もの遺伝子情報を、クラウドクラウドコンピューティングで共有さえしているのだ。究極の個人情報であるから、これには種々の批判もある。クラウドクラウドコンピューティング(cloud computing)とは、ネットワーク、特にインターネットをベースとしたコンピュータの利用形態であり、ユーザーはコンピュータ処理をネットワーク経由で、サービスとして利用する。
ほんの一例だが、カーナビの膨大なデータを利用して危険な道路を改善し、相当な実績をあげている自治体もある。ビッグデータを活用しているのだ。
私自身、スーパーコンピューター【京】の演算能力の足元にも及ばない。人類が初めて作った電子式自動計算機は、アメリカで開発され、約一万八千八百本の真空管を用いて製作された。それは、弾道力学の計算問題を計算専門家が解く八千四百倍の速さを誇った。私は、電子式自動計算機と同じぐらいの計算処理能力はある。残念ながら、私の動かぬ枝では、最新のCPは直接操作できないが……。
さて、CP談義はこれぐらいにしておこう。
昭和の初期、私を取り囲むようにして神社が建立された。いつの間にか、御神木として祭られ、なぜか長寿のシンボルとされ、神主初め信者達に、熱心に拝まれた。
「どうぞ、私にご長寿の光栄をお分けくださいますように……。ありがたや、ありがたや、ありがたや、……」
しかし、私が、現在高等動物の頂点にいる人間から、あがめられる存在だろうか? ふと、そんな疑問に包まれた。いくら超能力を自由に操れても、所詮、木という存在から脱せないのだ。単なる思考力と様々な知識を持つ杉に過ぎず、この世界に何も影響を及ぼせない。つまり、私の存在意義などないのでは……。
「心理的要因が多いと思われるうつ病では、原因となった葛藤の解決や、葛藤状況から離れることなどの原因に対する対応が必要である」
と、ウィキペディアにある。
私は、様々な葛藤に苦しんでいるから、人間が罹患しやすいうつ病に悩まされているのかもしれない。心療内科か精神科の医者の助けが必要だと思うが、自分自身で克服する以外に道はない。
何とも厄介な状況だ。図書館の近くに仲間達から、超能力で治療
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