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恐怖を味わった高校生
恐怖を味わった高校生
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[9] 最初 [1]後書き
の霊を感じられなかったのでしょう。あるいは、私達の霊が見えても、気味悪がって逃げて行った人も多くいました。自縛霊なのでここから移動出来ないのです。この公園で成仏出来ないまま、さまよっているのです!」
 事情を知り、可哀想に思った彼は優しく尋ねた。
「ここで何があったのですか?」
 すると、肘から先を失くし乳飲み子を背負った、首から上のない母親が、ツツーと前にやってきた。首の付け根から、血飛沫≪ちしぶき≫を空高く噴出させながら……。彼女には口がないために、想念を勉の脳に直接訴えかけてきたのだ。
「あなたの純粋な祈りで、私達を行くべき所へ送って下さい。お願い致します。ここは、空襲時の避難場所で多くの防空壕があり、私達はここにあった防空壕に入っていました。でも、B29の爆撃で防空壕が全て破壊されて、一人残らず爆死したのです!」
 勉は、経典の代表的な般若心経を心から唱え、皆さんの冥福を真剣に祈った。繰り返し、繰り返集した場所までやって来た。いまさら、学校に行く気もしないので、家に帰った。し……。
 真摯≪しんし≫な祈りが通じたのだろうか? 公園から皆揃って姿を消していた。
 我に帰ると、全身に気だるさと清々しさが溢れていた。


 −完―


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