3.夏
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中から着地していたのが気になったが……それに何か意味があるのか?
ほどなくして、変態は私の前に再び姿を表した。
――ヒヤァァァアアアアアアア!!!
こんな具合で世紀末色が濃い雄叫びを上げる、緑色のプラスチックの、ぞうさんジョウロを片手に。
「貴公。土がそんなに乾いていると、さぞ喉が乾くだろう。このぞうさんジョウロで俺が貴公に水をやろう」
――俺にびしょ濡れにされたいヤツはどいつだぁああ!!!
ヒヤァァァアアアアアアア!!!
ぞうさんジョウロの叫び声は、恐らくこの変態には届いていないのだろう。朗らかな表情のまま、変態は私の頭のてっぺんから、ぞうさんジョウロで水をかけてくれた。
――どうだ!!! 冷てぇか!? 冷てぇか!?
ヒャッハァァアアアアアア!!!
今日はお日様がいつも以上にやる気を振り絞っていて、とても暑い。そのためこの変態がかけてくれる水の冷たさが心地よく、私の身体を伝って地面に落ちる水が、私の喉を潤していく。
――ソラールァあ!! かけてやれ!! もっとだ!!!
こいつを水浸しにしてやろうぜぇぇぇぁぁあああ!!!
ぞうさんジョウロのロックな叫びは耳障りだが……それにしても心地よい。乾いた私の身体に、変態がかけてくれる水が静かに、心地よく染み込んでいく……それに、この暑さだ。ひんやりとした水がとても心地いい。
「ぉお! 貴公!!」
不意に変態が声を上げた。何事かと思ったが……
「心地よさそうな貴公の様子に、太陽が祝福を施してくれたぞ! 虹だ!!!」
変態がひときわ嬉しそうに、私にそう教えてくれた。見ると、変態ソラールがぞうさんジョウロでかけている水のその向こう側に、七色に輝く美しい虹が見えていた。
照りつけるお日様の眩しい光の中で、キラキラと輝くぞうさんジョウロの水しぶき……そしてその向こう側には、輝く虹のアーチ……美しい。この季節にしか見ることの出来ない美しい光景が、私と変態ソラール、そしてぞうさんジョウロの前に、広がっていた。
「太陽よ……このような美しい奇跡の光景を俺たちに見せてくれたこと、感謝する」
――どうだテメェエ!! 俺様の無慈悲な水攻撃で、
テメーは水浸しだぜヒャァァアアア!!!
「そして、貴公にも感謝する。貴公の摘果をさせていただいたおかげで、このような奇跡の光景を堪能することが出来た。……みかん。ありがとう」
――どうだ!? 涼しいか? 涼しいか!?
ヒヤァァァアアアアアア!!?
交互に私に言葉をかけてくれる変態ソラールとぞうさんジョウロ。そんな彼らの周囲には、先程ぞうさんジョウロがぶちまけていたシャワー状の細かい水滴が漂っていた。
「太陽に愛された貴公だ……そ
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