侍娘-クリスティナ-part4/悩む戦士たち
[4/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んな…」
あまりにもかわいそうじゃないか。クリスはただ、ルイズを友達として庇っただけなのに…。
シュウとテファの関係に続き、クリスのクラスメートの関係悪化。怪獣たちとの戦いがなくとも、問題が積み重なってく。
「…ふむ」
その日の授業もすべて終わった頃、シュウは学院の図書館を訪れ、そこで本を探していた。しばらくの間アスカの捕まっているアルビオンへ行くこともできず、ただサイトやアンリエッタの国単位での保護下に置かれるだけでは暇をもて余すことが多くなる。実際この学院に来て以来、やることがめっきりなくなってきた。授業に興味もあったが、この日は授業もなく、生徒や学院勤務の平民が修復作業を行っている。
テファもハーフエルフという身分。迂闊に外を彷徨かせるわけにいかなかった。アンリエッタから事情を聞いたオスマンも、二人をどのような立場でおいておくべきか検討中だ。ひとつは学院の生徒として、もうひとつは新人のメイドとして。だが両方ともメリットとデメリットがある。
学院の生徒ならば貴族としての立場を確立できる。メイドならば彼女の手慣れた家事能力を発揮できる。しかし、貴族であろうとメイドであろうと、どちらでもテファは学院の…特に男性から目をつけられやすい容姿とスタイルを持ち合わせていた。学院に来てから、エルフの証である長い耳を常に帽子で隠しているが、布一枚の防備では不安ばかりが沸く。
だからテファを部屋において、シュウは何か自分やテファの暇を潰せるだけの本がないか探しに来ていた。
思えば、以前からテファは村の外の世界にあこがれていた言葉を口にしていたが、せっかく外に出ても、身の安全を理由に外に連れ出すことができない。結局前よりも自由じゃないままのテファには辛い思いばかりさせてしまっている。
…辛い思いをさせている一番の要因は自分自身だ。今までの自分の素行がその証拠だ。自分のことも、自分を思ってくれる人たちの気持ちを踏みにじり続ける戦い。ただひたすら、人の命を救う、過去の過ちを償うためだけの生き方。見ていて気分がいいはずがない。だから皆俺のやり方を否定した。一番それを明確にしたのはティファニア。森の中でひっそりと平和に生きてきた、心優しい彼女だから当然だろう。
しかし、同時にこうも考える。こんなところでくすぶっている場合なのだろうか、と。自分以外の誰かが傷ついたり死ぬようなことを決して許さない。同時に…愛梨や内戦地で犠牲になった人々の未来を守れなかった自分がのうのうと幸せを掴むことなど許されない。自分の一生を償いの人生として捧げる気でいたからこそ、こうしている間に自分をここへ逃がすために自ら囮になってアルビオンに残ったアスカの安否が気になってくる。でも、自分ひとりだけ無理をしたところで何もなすことができない。それどころか、自分が暴走して事態がもっと混乱す
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ