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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#53
FAREWELL CAUSATION]V〜Titanic Catastrophe〜
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【1】


 暗黒の中から漏れ出ずる闇蒼の月。
 その周囲を取り巻く翡翠の()
 ヒールの爪先が罅割れたアスファルトについた刹那、
彼女が発したのは言葉ではなく奇襲失敗に於ける現場からの離脱だった。
 幾ら距離を置いても安全な射程距離など存在し得ない、
だがビル屋上の昇降機塔の影に身を寄せた5人は、
真王が顕れて以降初めて、深く呼吸をする事を許された。
「“弔詞の詠み手” マージョリー・ドー。
やはり、アナタでありましたか」
 長い栗色の髪と深い菫色の瞳、
所々解れはあるが却ってそれが
内部の凄艶を際立たせるタイトスーツ。
「おいおいおいおい、誰だよ花京院、このスゲー美人!」
 神妙な声で接する淑女とは裏腹に、軽薄な熱に浮かされた騎士の頭を
少女がジャンピング・フック(変形のガゼル・パンチ)で打つ。
「声が、大きい……! みつかったらどうするの、バカ……ッ!」
 この状況でいつもの喧嘩を始めようとする二人の口を、
花京院とヴィルヘルミナが懸命に止めた。
「ったく、アンタら本当に退屈しないわね。
あんな真王(バケモノ)放っとけって、私は言ったんだけど、
まさか本当に戦ってるなんて」
「見てしまった以上、知らないフリは出来ませんよ、
ミス・マージョリー。
『本体』を狙うのは正しかったようですが、
予想以上の空間の歪みに、大分流されましたね」
「アンタの『法  皇(ハイエロファント)』がなかったら、
近づくコトも出来なかった。
結晶の回転で「牽力(けんりょく)」飛ばさなかったら、
多分呑み込まれて一巻のオワリだったわよ」
 何故か微かに酒気(ワイン)の香りを滲ませながら、
二人は先刻の奇襲を反芻した。
「いや、それより」
「自己紹介は、後。私もアンタのこと知らない」
 平常なら当然の疑問を、美女は開いた掌だけでサクッと制する。
「騎士の “オマケ” って想っときゃいいわ。
本体は兎も角、能力は結構役に立つ」
「異論はないのであります」
「まぁ、今はそういう事にしておきましょう」
「粗品」
「お、おまえら、なぁ……」
 疑問を呈しただけで何故ここまでボロカスに言われねばならないのか、
普通なら人間不信に陥る冷罵の嵐を、ポルナレフはなんとか半泣きで押し留めた。
「ギャーーーーーーーッハッハッハッハッハ!!!!!!!!!!!
まぁこいつら無愛想なのは今に始まったことじゃあねー。
あんま気にすんなよ(あん)ちゃ」
 突如美女の腰から下がった分厚い本から飛び出てきた蒼い炎の魔獣が、
場末の飲み友達ようにポルナレフ背中を爪のある掌でバンバンヤると同時に、
全員分の右手と両手と脚と拳がその表紙を思いっきり塞いだ。
「さっき、大声で喋るなって言ったわよねぇ?

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