第5章:幽世と魔導師
第146話「彼の隣に立ちたくて」
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に、この分身を使えばごり押しも可能だ。
でも、分身を使えばその分だけ、私は負担を強いられる。
ましてや、今回のような状況では……。
「(大門の守護者のような相手だと、絶対に使用できないわね……)」
痛みなども感じるとなれば、格上には絶対に使えない。
同化する際の痛みは、“死ぬこと”さえ例外じゃない。
もし、分身を何人も出したとして、それが殺されでもしたら……。
殺されたのが分身一体だけならまだ耐えられる。でも、複数であれば……。
「(ショック死を、免れない……)」
痛みも引き受けるという事はそう言う事だ。
例え死なずに済んだとしても、後遺症は確実に残る。
「(でも、優輝さんなら、或いは……)」
ふと、それでも優輝さんなら、大丈夫かもしれないと思った。
今まで、代償が必要な事を、無事に成し遂げてきた優輝さんなら。
「………」
そこまで考えて、頬を軽く叩く。
今、優輝さんは関係ない。これは私の問題だ。
「疲労感、良し……」
〈もういいのですか?〉
「ええ。悠長にはしていられないし、これぐらいなら大丈夫」
今回は確かに分身も多くて、疲労感もあった。
でも、傷は一つも負っていない。だから大丈夫だ。
「(何より、優輝さんも頑張っているのに、じっとなんてしていられないわ…!)」
そう。休憩を切り上げた本当の理由がこれだ。
優輝さんが……と言うより、他の皆が頑張っている。
そして、今も民間人の人達は助けを求めている。
正義の味方ぶる訳ではないけど、私にはそれに応える力がある。
なら、その力で助けない訳にはいかない。
「(優輝さんなら、どう答えるかな……)」
私の憧れであり、恩人であり、そして、好きな人。
あの人はお人好しだけど、別に“正義の味方”と言う訳ではない。
何せ、かつては“導王”と言う王様だったんだから、当然のように大のために小を犠牲にしたりしただろう。……緋雪……小を優先したらしいけど。
「(……お人好しだし、見捨てる事はないかな…)」
なんやかんやで、きっと助けるだろう。
助ける相手が、余程の人でなしでない限りは。
優輝さんは、そういう人だから。
「(だから、いつも無茶をする)」
誰も彼も助けると言うのは、大抵が“無茶”だ。
でも、優輝さんはそれでも助けようとする。そして、実際に助ける。
それはまるで性分のようで、私達だとどうにもならなかった。
「(……だから、私達が支える)」
私が……ううん、私達が優輝さん達の下、特訓をするには、理由がある。
一つは力不足を感じたから。元より、私の場合は椿さんに鍛えなければ勿体な
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