第5章:幽世と魔導師
第146話「彼の隣に立ちたくて」
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「誰が、分身は一体だけだと言ったかしら?」
そう。分身は一つだけじゃない。
それどころか、さらに増え続ける。それがHarmonicsなのだから。
分身体がさらにスキルを使い、分身は増え続ける。
その分だけ消費魔力量も増えていくけど……そこは魔力結晶でカバー。
……よって。
「物理でも魔法でも霊術でも押しきれないのなら、物量で押し切る……!」
「面妖な……!」
「妖がそれを言うのかしら……!」
怒涛の近接攻撃だけでなく、遠距離からの魔法や霊術も加わる。
そして、その量は増え続ける。
「ぐ、ぬぅうう……!」
「っ……!」
これは、一種の根競べ。
私の魔力と魔力結晶が尽きるのが先か、両面宿儺が力尽きるのが先か。
……さぁ、耐えて見れるものなら、耐えてみて……!
「ぐ……ぬぅ……!」
「これで、終わりよ……!」
〈“Forzando”〉
ボロボロになった両面宿儺を、分身が数人掛かりで押さえこむ。
直接押さえていない分身も、バインドなどで協力する。
そして、そこへトドメの魔法を本体が撃ち込んだ。
「ご………ぉ……み、見事……!」
「……………」
胸を穿たれ、倒れ伏す両面宿儺を、黙って見続ける。
……反応は、なし。完全に沈黙したわね……。
「門は……」
〈そのまま真っすぐですね〉
「ええ」
完全に倒した事を確認し、私は門を閉じに向かう。
閉じた後、周囲に妖などが残っていないか探知する。
〈……大丈夫です。周囲に敵はいません〉
「そう。……ガードスキル“Absorb”」
エンジェルハートの返答に、私は安心してガードスキルを発動させる。
「っ、ぅ、くっ………!」
独立した意識を生み出すハーモニクス。一見便利なスキルだけど、欠点がある。
それは、分身を戻す際、つまりアブソーブを使った時、本体である私に分身の記憶や疲労などの、全ての経験が集約すると言う事。
……言い換えれば、分身がそれぞれ負った少しの疲労も、元に戻ると……。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」
こうして、私には大きな疲労として襲ってくる事になる。
他にも、今回は大丈夫だったとはいえ、分身が一人でも大怪我を負った状態で同化すれば、その痛みも感じる事になる。そして、それは怪我を負った分身が多い程大きくなる。
幸い、傷そのものは私自身が負ったものしか残らないけど。
「……やっぱり、あまり使うべきではないわね…」
なぜ今までこれを使わなかったのか。その理由がこの疲労感だ。
確か
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