第5章:幽世と魔導師
第146話「彼の隣に立ちたくて」
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=司side=
「っ……!」
振りかぶられる拳。唐突に復活して、力も増した海坊主による、不意打ち。
本来なら、そのまま碌に防御も出来ずに喰らってしまうだろう。
私の胸騒ぎは、こうして的中してしまったらしい。
「甘い!!」
でも、それは以前までの私であればの話。
今の私には、なんのしがらみもない。
むしろ、今は心強い味方がいる。
「ジュエルシード!!」
三つのジュエルシードが連なり、障壁を展開する。
例えその障壁が魔力で出来ていようと、術者は天巫女である私だ。
“祈り”の力を込めた障壁、いくら妖であろうと、易々と貫かれはしない!
ギィイイイイン!!
「っ……!(なんて衝撃!さっきまでとは、訳が違う…!)」
いくら防げるとはいえ、その衝撃の脅威は分かる。
だからこそ、さっきまでとは段違いの強さになっているのを理解した。
「(それだけじゃない!津波で街ごと飲みこもうとしている!私だけが無事でも、それじゃあ意味がない!)」
海坊主が腕を振るう度、大きな波が引き起こされる。
幸い、今の所はただの波でしかないので、普通の障壁で防げてるけど……。
「オオオオオオオオオオオオオオ!!!」
「(来る……!)」
海坊主は拳を……私ではなく、海に叩きつける。
その瞬間、霊力が込められた津波が発生し、私ごと街を呑み込もうとした。
「させない!!」
―――“バリエラ”
もちろん、既に対策は出来ている。
ジュエルシードの力を開放し、広範囲に祈りが込められた特殊な障壁を張る。
天巫女として繰り出すこの魔法は、あのアンラ・マンユの攻撃も受け止める事が可能。……たかだか妖一体に破られる程、軟じゃない!
「穿て!」
「ッ………!?」
街を守る障壁の維持を、十個のジュエルシードに任せ、私は海坊主の相手を続ける。
祈りの力で魔力を圧縮。連続して撃ち出す。
でも、その攻撃は腕でガードされてしまう。
「(……一応、並の力じゃ抵抗も出来ないまま押し切れるはずなんだけど…)」
圧縮した魔力による攻撃は、それこそ生半可な防御じゃ防げない。
あの優輝君も、防御魔法では防ぎ切れないと言う程だ。
……防げない代わりに“打ち破る”と言う手段で突破してきたけど。
「っ、“バリエラ”!」
ギィイイン!!
私の攻撃を耐え抜いた海坊主は、そのまま拳を叩きつけてくる。
咄嗟に私は障壁を展開してそれを防ぐ。
「まったく、もう!!」
負けはしないと分かったとはいえ、何度も攻撃をしてくるのは鬱陶しい。
そんな
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