第四十二話 山伏その六
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「そうしてでありますな」
「そうしてな、どうしようもない奴以外は殺すべきではない」
「だからこそ」
「その方がいい筈だ」
こうした話もしてだった、英雄達は賊達が奪ったものを都の奪われた者達や大江山の近辺の者達に返した。それが終わってからだった。
峰夫は英雄にあらためてだ、強い声で申し出た。
「それではであります」
「あんたの山にだな」
「案内させてもらうであります」
こう申し出たのだ。
「今から」
「それではな」
「鞍馬山であります」
「それがあんたが修行している山か」
「左様であります、この山もであります」
「霊山だな」
「ご存知でありますな」
英雄にこのことも問うた。
「名前は」
「牛若丸の伝説だな」
「はい、九郎判官殿が修行されていた山であります」
伝説では大天狗を師範とし烏天狗達を相手に剣術や体術の修行をしていたという、それが後の鵯越や八艘跳びにつながったのだ。
「わしはそこで、であります」
「修行をしているか」
「そうであります」
まさにという返事だった。
「師、同輩達と共に」
「修験者のだな」
「左様であります」
「わかった、では今からあん」
「その鞍馬山にでありますな」
「全員で行こう」
五人でというのだ。
「そうしよう」
「それでは」
「そしてだが」
こうも言った英雄だった。
「一つ食いたいものがある」
「と、いいますと」
「最近山でばかり食っていた」
「だからでござるか」
「何か店のものを食いたい」
「では」
「丁度都にいる」
大江山の周りの村の者達にも奪われたものを返しそれで最後にもう一度都に寄り返し損ねていたものを返したのだ。
「ならな」
「この都の中でありますか」
「何か食おう」
「そうですか、では」
「いい店を知っているか」
「いえ、わしは都の料理は知りませぬ」
こう英雄に言うのだった。
「ですが鯉が好きでありまして」
「鯉か」
「はい、こちらの世界では」
「鯉ならな」
「いい店をご存知でありますか」
「左京の南の方にある」
都のそこにというのだ。
「近くに鴨川があるな」
「あそこで獲れた鯉を調理していて」
「実に美味い、そこの鯉を凍らせて持って行ってだ」
そしてというのだ。
「溶けてから刺身にしてもらおう」
「一旦凍らせる理由は」
「わかるな」
「虫であります」
峰夫は英雄にすぐに答えた。
「それであります」
「そうだ、俺達も虫が怖い」
「だからです」
良太も峰夫に話してきた。
「川魚を生で食べたりする時はです」
「一旦凍らせてからでありますな」
「中にいる虫を殺して」
「そのうえで刺身として食べる」
「お刺身を食べるなら」
その場合はというのだ
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