第五十話
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、私の横を通り抜けて行った。それに続いて愛宕さんと望月ちゃんも行く。
「…………えっと、私たちも行こ?」
「…………うん。」
私はプリンツちゃんに促されて、その場から立ち上がった。
―っ。
「摩耶さん!前方五十キロ地点に敵影アリ!一隻です!艦種は…………私ははじめてのだと思います!」
私は自分が感じたことをそのままみんなに伝える。
私は、『始祖』として持っている特徴として、電探よりも広い範囲の敵影を正確に読み取ることができる。前に摩耶さんと戦ったときなんかも使った。
今回みたいな護衛作戦には持って来いの特徴だ。
「あ?見たことない?」
摩耶さんは怪訝そうな顔をした。
「はい。私が見たことないだけですけど…………外見は…………。」
さっき感じ取った映像頭の中で再確認しながら言う。
「黒のパーカーっぽいものを着た、人形に近い形でした。」
私とプリンツちゃん以外の三人の表情が、絶望へと変わった。
―自室―
さて、これからどうしたものか。
俺は自分の部屋のベッドの上で胡座をかき、腕を組んで悩んでいた。
現在、○三二○。
恐らく、そろそろ春雨達が帰ってくる頃であろう。
…………えっと、出迎えた方がいいんだろうか。いや、いつもそんなことはしないな。「あ、いつの間に帰ってたんだ?おかえり。」ってのがデフォルトだ。
…………朝練を装う?いや、なんか違う。
と言うか、なんでこんなことを考えてるんだろうか。いつも通りに接すれば全然良いじゃないか。あの日はどのみち春雨は勉強できなかったんだし。
「……………………はぁ、あのクソ提督め…………。」
困ったときの責任転嫁。ここにいるうちは提督のせいにしとけばだいたい大丈夫だ。
「…………しかし、こうも朝早すぎるとやることねぇな。」
…………そうだ。二度寝に挑戦してみよう。今まで一回も成功したことないけど、できるようになったら便利かもしれない。
俺は枕元の目覚まし時計を、○四三○にセットする。念を入れて、自分のスマホでも五分ずらしでタイマーを掛ける。
電気スタンドの明かりはわざと着けておき、布団を顔まで被る。アラームが鳴って起きたら眩しい、という戦法だ。
俺は目を閉じて、かなりベタだが羊を数え始めた。
羊がいっぴ―。
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