暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府のみかんの木
1.自己紹介
[2/2]

[9] 最初 [2]次話
とも私の前では、とてものどかな生活を、変わらない顔ぶれのみんなが営んでいた。

 無論、私も変わらずここにいる。ここにいて、今も変わらず、みんなを見守り続けている。

「みかんさん。おはようございます。今年ももうすぐお花を咲かせてくれますね。……今年もたくさん、みかんを付けてください」

 ただ一つ。変わったのはみんなの仕事だ。戦争が終わったから、仕事場を海から陸へと変えていたのだが……ある者はピザ屋を立ち上げ、ある者はパソコンスクールの室長となり、ある者は清掃会社でコンビで頑張り……食堂で皆に美味しいごはんを振る舞い……

「鳳翔さ〜ん。そろそろ行きませんか?」
「はーい。間宮さん先に行ってて下さーい」
「はーい。鳳翔さんも急いで下さいねー」
「よし。……ではみかんさん。今日も元気に行ってきますっ」

 そして、こんな風に彼女たちは、今も変わらず私に声をかけてくれる。みかんの木である私に対し、まるで同族の人間であるかのように声をかけ、スキンシップしてくれる。

 これは、そんな私と彼女たちの、なんでもない日々の記録。

 とある一年間の、私達の日々の記録の物語だ。


[9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ