仇討ち
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の言葉を上回るものはない。
もしこのまま手を取れば自分が戦えなくなってしまうことは確実。混乱していた頭をフル稼働させ彼が取った行動・・・それは・・・
「ゆっくり眠ってください」
右手で彼女の幻覚を払うことだった。
「なっ・・・」
信じられないような彼の判断に唖然とするナインハルト。カグラやリオンといった、目の前に死者が蘇ったものたちも、脇目に見えた彼の行動に驚愕していた。
「えぇ、お休みなさい」
目の前から消されたラウラは笑顔だった。レオンは視界から消えた彼女のことを思い出し心苦しくなるが、すぐに目の前の優男を見据える。
「貴様・・・なぜ何も思わない!?かつて自分が殺めた相手に、謝罪の気持ちもないのか!?それでも人間なのか!?」
「人間だと、れっきとした」
声のトーンが1つ下がった少年。ナインハルトは彼の周りの空気の温度がみるみる低下していくことに気が付いた。
「俺はあの子を殺してしまった。それで心を病んだこともあった。でも、生きている限り先に進まなければならない。それが死んでいった者へできる唯一の弔いだから」
かつて魔法が使えなくなるほどに心を病んでしまったことがある彼だからこそ説得力がある。彼の過去を知っているリオンやカグラはその言葉を聞き、目の前の人物に動揺していた自分たちが恥ずかしくなった。
「ごめん!!お兄ちゃん!!」
「ウル・・・俺はあなたを越えなければならない!!」
シモンを、ウルを目の前から消し去る。消された彼らはかつての出来事を乗り越えた妹を、弟子を見て安心したような笑みを浮かべて天に召されていった。
「覚悟はできてるんだろうな?人の過去を引きずり出してきたことに対する罰を受ける覚悟が」
ジリジリと迫ってくる少年を見て足を震わせる青年。彼は自分を遥かに越える魔力を持っている少年を見て、ある人物を思い出した。
「この感じ・・・まるであいつと―――」
黒い冷気を纏った拳が顔面に突き刺さる。まともにそれを受けた彼は砲弾のように飛んでいき、地面に突き刺さった。
「そんなバカな!?」
「ナインハルト様がやられるなんて!?」
16の1人であるナインハルトが倒されたことでアルバレス軍に動揺が走る。明らかに他とは違う魔力を持っていた人物を倒したレオンは、高々と拳を突き上げる。
「このままハルジオンを奪還する!!行くぞお前ら!!」
勢いに乗りどんどん敵を押し込んでいく蛇姫の鱗と人魚の踵の連合軍。それを見ていた天海は、思わず舌なめずりしていた。
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