仇討ち
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仲間が連れていかれようとしていることに気が付いたカグラとリズリーが追い掛けようとする。しかし、その前に1人の男が立ち塞がった。
「久しぶりだな、カグラ」
筋骨隆々の肉体をし、顔を冑で隠している彼を見て、カグラは思わず立ち止まり、涙を流した。
「お兄・・・ちゃん・・・?」
それは以前楽園の塔で命を落としたはずのカグラの兄、シモンだったからだ。
ヒュゥゥゥゥゥ
「なんだ?この冷気は・・・」
急激に気温が下がってきた戦場にリオンが違和感を覚える。彼は空気が冷えてきている方を振り向くと、そこにいる人物を見て目を見開いた。
「さぁ、修行の時間だ、リオン」
「・・・ウル?」
仲間たちを凍らせながら歩いてくるのは彼とグレイの師匠であり、デリオラとの戦いで命を落としたウルだったからだ。
「お久しぶりですね、レオンさん」
「!?」
聞き覚えのない声に馴れ馴れしく声をかけられたレオンは相手を地面に沈めていた魔法を中断する。彼が向いたそこにいたのは鎧に身を包んだ優男と、その前にいる見覚えのある猫。
「ラウルの・・・お母さん?」
それは自身がかつて殺めてしまった、相棒であるラウルのお母さんだった。
「これこそ屍のヒストリア。そう、実に美しいヒストリアだよ」
精神の暗殺者ナインハルト。彼は相手の心の中を見通すことができる。そしてそこから生み出されるのは、本来交わることができなかった記憶の中の者たち。
「ラウルをずっと、育ててくれたんですね」
「いえ・・・」
彼女が幻であることはおおよそわかっていた。でも、心の中でどこか、もしかしたらという想いがあったのかもしれない。彼は1歩1歩ラウラの方へと歩いていく。
「さぁ、その手を取りたまえ。その瞬間、私が君を彼女の元へと誘ってあげよう」
彼の手の中にはナイフが握られていた。レオンは自分に向けられている殺意に気が付かずにラウラに近付いていく。
「レオンさん、来てください」
手を差し出すラウラのそれを思わずレオンは取りそうになった。しかし、その瞬間に彼の思考が蘇る。
(これは現実なのか?いや、そもそもラウルのお母さんがなぜ俺のことを知っている?)
動きが固まった彼を見てナインハルトは訝しげな表情を浮かべる。もう1歩、あとわずかで敵の最大の脅威を排除することができる。
(この手を掴めば俺もラウルも・・・幸せになれるのかな?)
止まっていた手が再び動き出す。目の前の猫の手を取ろうとしたレオン。だが・・・
『ラウルのこと・・・よろしくお願いします』
彼の中でこ
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