332部分:第二十五話 強い一歩その七
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二十五話 強い一歩その七
そうしてだ。宴が終わり屋敷に帰り。
義正は共にいる真理にだ。こう言ったのだった。
「一つの。大きなことでしたね」
「そうですね。今日私達がしたことは」
「一歩です」
義正はこうも言った。
「これは大きな一歩です」
「そうなりますね」
「はい、私達は共にいて」
そしてだというのだ。
「生まれてくる子供を育てることを」
「そのこともですね」
「そうしましょう。ずっと」
義正はその真理を見て言う。
「二人で。ずっと」
「それが三人になり」
「さらにですね」
「はい、そうしましょう」
こう話してだった。二人は決意をあらたにしたのだった。
そんな彼等をだ。扉の陰から見て。佐藤は。
一旦その扉から離れそのうえで婆やにだ。密かに囁いたのだった。
「私はです」
「佐藤さんもですね」
「御二人を誤解していました」
「はい、私もです」
婆やもだというのだ。
「御二人は私達が思っていた以上にです」
「素晴らしい方々ですね」
「まことに」
そうした意味での誤解だった。二人の誤解は。
「その通りですね」
「全くです。では私は」
「はい、私もまた」
「共にいましょう」
佐藤は婆やに言った。
「あの方々と」
「最後の最後までお仕えされるのですね」
「病。労咳なぞです」
その病、不治の病についてもだった。佐藤は言った。
「大したことはないのです」
「そのことはですね」
「はい、どうということはありません」
こう言い切った。
「大事なことはです」
「どれだけの素晴らしい時を過ごすかですね」
「御二人はわかっておられます」
そうしたことがだというのだ。
「ですから。私もです」
「そして私もまた」
「御二人を最後の最後までお世話します」
「はい。では今は」
「今は」
「お茶を淹れましょうか」
微笑みだ。婆やは言った。
「それを淹れてお二人にお出ししましょう」
「そうですね。それがいいですね」
「紅茶を」
婆やが考えている茶はこれだった。
「それに生姜も入れて」
「生姜もですか」
「生姜は身体にいいですから」
だからだとだ。真理を気遣ってのことであるのは言うまでもない。
「それではそうしましょう」
「はい、それでは」
「では今から」
紅茶を用意するというのだ。そしてだった。
佐藤もだ。微笑んで婆やに述べた。
「では私も今からです」
「御風呂ですね」
「御風呂は身体にとてもいいです」
だからだというのだ。彼もまた。
「今からそうしてきます」
「わかりました。ではお互いに」
「はじまったばかりですね」
佐藤はこんなことも口にした。
「御二人の道は」
「そうですね。実ははじま
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ