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儚き想い、されど永遠の想い
331部分:第二十五話 強い一歩その六
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第二十五話 強い一歩その六

「いいか」
「はい、何でしょうか」
「音楽を用意してくれ」
「音楽をですか」
「ピアノがいいな」
 部屋の端にあるその黒いピアノを見て言う。特別に仏蘭西から問い寄せた最高級のピアノだ。そのピアノを見て言うのである。
「それを演奏させるのだ」
「曲は」
「ショパンがいいか」
 それだというのだ。
「それをかけよう」
「ショパンですか」
「そうだ、ショパンだ」
 彼はまた言う。
「それがいい」
「わかりました。では」
「彼の奇麗な音楽がこの場には合っている」
 それでショパンだというのだ。
「だからこそだ」
「では」 
 こうしてだ。場の雰囲気を変える為にだ。ここでだった。
 ピアノが演奏される。その音楽はやはりショパンだった。
 それを聞いてだ。場は変わった。
 自然に落ち着いた雰囲気になっていく。その中でだ。
 義正の兄弟達はそっと彼のところに来てだ。言うのだった。
「よく決断したな」
「見事だ」
 まずは二人の兄が彼に声をかける。笑顔で。
 そうしてだ。それぞれ彼の肩をぽんぽんと叩く。
「これからもな。二人でな」
「幸せになっていくんだ」
「幸せはもう決まっています」
 義美もだ。微笑んでだ。兄に話す。
「後はそれを歩まれるだけです」
「それだけか」
「はい、そうです」
 彼女はこう言ったのだった。
「御二人でそのままです」
「歩いていけばいいか」
「そうされて下さい」
 これが妹の言葉だった。そしてその彼等の隣では。
 真理がだ。彼女の兄姉達に言われていた。
 まずは二人の姉がだ。彼女に言う。
「真理さん、是非共ね」
「いい子供を産んでね」
 女としてだ。このことを言うのだった。
「いいわね、絶対によ」
「そうしてね」
「はい」
 微笑んでだ。真理もだ。
 頷く。そうしたのだ。
 そして自分からもだ。真理は言った。
「産んで。そして」
「育てるのね」
「二人で」
「そうします。何があっても」
 こう話してだった。彼女は前に出ることをあらためて決意し述べたのだった。
 そうしてだ。宴が終わり屋敷に帰り。
 義正は共にいる真理にだ。こう言ったのだった。
「一つの。大きなことでしたね」
「そうですね。今日私達がしたことは」
「一歩です」
 義正はこうも言った。
「これは大きな一歩です」
「そうなりますね」
「はい、私達は共にいて」
 そしてだというのだ。
「生まれてくる子供を育てることを」
「そのこともですね」
「そうしましょう。ずっと」
 義正はその真理を見て言う。
「二人で。ずっと」
「それが三人になり」
「さらにですね」
「はい、そうしましょう」
 こう話してだった。二
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