331部分:第二十五話 強い一歩その六
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二十五話 強い一歩その六
「いいか」
「はい、何でしょうか」
「音楽を用意してくれ」
「音楽をですか」
「ピアノがいいな」
部屋の端にあるその黒いピアノを見て言う。特別に仏蘭西から問い寄せた最高級のピアノだ。そのピアノを見て言うのである。
「それを演奏させるのだ」
「曲は」
「ショパンがいいか」
それだというのだ。
「それをかけよう」
「ショパンですか」
「そうだ、ショパンだ」
彼はまた言う。
「それがいい」
「わかりました。では」
「彼の奇麗な音楽がこの場には合っている」
それでショパンだというのだ。
「だからこそだ」
「では」
こうしてだ。場の雰囲気を変える為にだ。ここでだった。
ピアノが演奏される。その音楽はやはりショパンだった。
それを聞いてだ。場は変わった。
自然に落ち着いた雰囲気になっていく。その中でだ。
義正の兄弟達はそっと彼のところに来てだ。言うのだった。
「よく決断したな」
「見事だ」
まずは二人の兄が彼に声をかける。笑顔で。
そうしてだ。それぞれ彼の肩をぽんぽんと叩く。
「これからもな。二人でな」
「幸せになっていくんだ」
「幸せはもう決まっています」
義美もだ。微笑んでだ。兄に話す。
「後はそれを歩まれるだけです」
「それだけか」
「はい、そうです」
彼女はこう言ったのだった。
「御二人でそのままです」
「歩いていけばいいか」
「そうされて下さい」
これが妹の言葉だった。そしてその彼等の隣では。
真理がだ。彼女の兄姉達に言われていた。
まずは二人の姉がだ。彼女に言う。
「真理さん、是非共ね」
「いい子供を産んでね」
女としてだ。このことを言うのだった。
「いいわね、絶対によ」
「そうしてね」
「はい」
微笑んでだ。真理もだ。
頷く。そうしたのだ。
そして自分からもだ。真理は言った。
「産んで。そして」
「育てるのね」
「二人で」
「そうします。何があっても」
こう話してだった。彼女は前に出ることをあらためて決意し述べたのだった。
そうしてだ。宴が終わり屋敷に帰り。
義正は共にいる真理にだ。こう言ったのだった。
「一つの。大きなことでしたね」
「そうですね。今日私達がしたことは」
「一歩です」
義正はこうも言った。
「これは大きな一歩です」
「そうなりますね」
「はい、私達は共にいて」
そしてだというのだ。
「生まれてくる子供を育てることを」
「そのこともですね」
「そうしましょう。ずっと」
義正はその真理を見て言う。
「二人で。ずっと」
「それが三人になり」
「さらにですね」
「はい、そうしましょう」
こう話してだった。二
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ