入学編
一科生と二科生
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、教室中に散らばっていた生徒たちがそれぞれ自分の席に戻る。
すると、教室前面のスクリーンに文章が映し出された。
[五分後にオリエンテーションを開始しますので、自席で待機してください。IDカードを端末にセットしていない生徒は、速やかにセットしてください]
しかしこれは、既に受講登録まで終えてしまった深紅と達也にはなんの意味も持たないものだった。
さらにしばらくして、本鈴とともに一人の女性が教室に入ってきた。
制服ではなくスーツを着ているため、遅れてきた生徒ではない。
その女性は少しせり上がった教卓の前に立ち、教室を見渡した。
「はい、欠席者はいませんね?皆さんおはようございます」
にこやかな挨拶につられたように、何人かの生徒が頭を下げた。
しかし深紅と達也は女性の不可解な行動に首をかしげるばかりだった。
それもそのはず、生徒の出欠席は教卓の端末に表示されており、肉眼で確かめる必要などないからだ。
「わたしはこのクラスのカウンセラーを担当しています、小野遥です。皆さん困ったことがあったら、なんでも相談してくださいね」
遥はそう言って、生徒たちににっこりと微笑みかけた。
「これから皆さんには履修登録を行ってもらいます。既に履修登録を終えた方は退室しても構いませんが、ガイダンス開始後の退室は認められませんので、希望者は今のうちに退室してください。その際はIDカードを忘れないでくださいね?」
その言葉を待っていたかのように、一人の男子生徒が立ち上がった。
達也ではない。
どこか神経質そうな顔立ちのその少年は、まるで強がっているようにも見える傲然とした態度で教室を出て行った。
深紅も達也も履修登録を終えていたが、無駄に目立つことを避けて退室は諦めた。
さて何をして過ごそうか……と手元に視線を戻した時、達也は強い視線を感じ顔を上げた。
すると、教卓の前に立った遥と視線がぶつかった。
目があってもそらすことなどせず、にっこりと笑いかけてくる。
その時間中達也は、気づいたら遥に笑いかけられていた。他の生徒に不審がられないよう、控えめに。
−−−一体なんだったんだろうな?
一方遥が達也に笑いかけていることに気づいていた深紅は……
−−−あの人は、生徒である達也をナンパでもしようとしているの???!
不機嫌な視線を遥に投げつけていた。
遥は気づいているのかいないのか(おそらく前者だが)深紅のそんな視線は完璧に無視をしていた。
そのことにさらに苛立ちを覚えた深紅は、その時間中ずっと不機嫌だったと言う。
??????
「お兄様、深紅……」
「謝ったりしないでよ、深雪」
「そうだ、一厘一毛たりともお前は悪くないからな」
「しかし……止めますか?」
「いや、それはやめておいたほうがいい」
「間
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