329部分:第二十五話 強い一歩その四
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二十五話 強い一歩その四
無表情、そして無言で頷き合いだ。お互いに。
前に出た。家族の前に。それを見てだ。
二人の母達がだ。話した。
「それではですね」
「今から何かがはじまりますね」
母親としてだ。それぞれだ。
二人を見てだ。話すのだった。
「いよいよ何かが」
「二人がはじめますね」
「では。私達は」
「はい、見守りましょう」
二人もだ。決意を固めてだった。そのうえで子供達を見守るのだった。
その二人はだ。横に並んでだった。
まずは無言だった。だが。
やがてだ。ゆっくりとだった。
真理がだ。口を開いて言った。
「私はです」
「そうだ。それからだ」
伊上は確かな顔でここで呟いた。
「言うのだ、そのまま」
「今お腹の中に子供がいます」
こう言ったのだった。義正の横で。
「主人の子がです。います」
「私達の子供です」
ここでだ。義正も言った。
「その子が今妻の中に宿っています」
「この子を。私達は育てていきます」
切実な顔でだ。真理は言う。そして。
皆その話を聞いていた。しかしだ。
本来なら祝福されるその話をだ。彼等は沈黙して聞いていた。
そしてだ。それからのことを待っていた。これで終わりとは思えなかったのだった。
その子、そして何があるのかをだ。彼等は待っていた。二人が言うことを。
そしてだった。真理が言ったのだった。その彼女が。
「ずっと。二人で」
「そうしていきます」
また義正も言う。そしてだ。
真理はだ。ここまで話してだ。
あらためて一呼吸置いて。そうして。
遂にだ。このことを告白した。
「私は今病に罹っています」
「そうか」
真理の父が。娘の言葉を聞いて。
そしてだ。静かに頷いたのだった。それだけだった。
そうして娘の言葉をだ。さらに聞くのだった。無言で。
「労咳です」
「妻は。その病に罹っています」
義正もだ。知っていると告白した。妻のことを。
「ですがそれでも私はです」
真理がだ。さらに言う。
決意をこれまで以上に顔に見せて。言うことは。
「子供を。私達の子供を産んで育てていきます」
「私達で」
また義正も言った。
「二人で、です」
「離れることなく育てていきます」
「病があろうともそれでもです」
「決して離れません」
言い切った。ここまで。
そしてだ。二人はさらに言った。
「二人で最後まで一緒にいてです」
「生まれてくる子供を育てていきます」
ここまで言ったのだった。最後まで。
そうしてだった。二人は。
あらためてだ。家族に話した。
「どうか。このことをです」
「わかって下さい」
「病に罹っていてもそれでも」
「共にいます」
言い
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ