〜高校生組〜 妹達を追って
第6羽 欠けたパーティメンバー
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「わぁぁぁん!」
木組みの街の真ん中で、ココアの泣く声がこだまする。
「わかった!わかったからもう泣くな!」
大泣きするココアをどうにかなだめようとするリゼ。
しかしココアはなかなか落ち着く様子がない。
「そそそそうよ、おおお、落ち着いてココア!」
ココアを落ち着けようとするも、自身もどうしていいかわからずにいるシャロ。
ここまで収集がつかないでいる状況は逆に珍しい。
「だって…千夜ちゃんは…私たちを助けるために…千夜ちゃんがぁ!」
そう、その場には…彼女達とたったさっきまで行動をともにしていた、千夜の姿がなかったのだった。
「一回!一回落ち着いて、何があったか詳しく聞かせてくれ!」
そのリゼの言葉に、泣くだけ泣いてやっと少し落ち着いてきたココアが語り出す。
「うん…学校が終わって私は、チノちゃんに用事があるっていう千夜ちゃんと一緒にラビットハウスにまっすぐ向かったの。それでラビットハウスに着いたら、営業中のはずなのに中でチマメちゃん達がお昼寝してて。あらあら、仕事中に寝るなんていけない子達だねってチノちゃんにいたずらしようとしたら、突然なにか強い光に包まれて…」
「そのタイミングで丁度私達も来て、気がついたら私達4人がこの空間に転送されていたってわけか」
「うん。その後はリゼちゃんも知ってるとおり、光が収まったらラビットハウスからチノちゃん達が消えてて、代わりに青くて四角いオバケが二階から降りてきて、そのオバケから私達を助けるために千夜ちゃんが…どうしよう、千夜ちゃんがオバケに…」
ふたたび真っ青になってふさぎ込むココア。
「いい加減落ち着きなさいって言ってるでしょ!千夜ならきっと大丈夫よ、千夜なら…そうよ、千夜があの程度のオバケにやられるわけないじゃない、持ち前のもはや神がかった回避能力でアイツの攻撃全部避けてこっちに向かってきてるに決まってるじゃない!」
ココアを諭すために自らが発した言葉に自信を持ち始め、いつもの調子に戻り始めるシャロ。なるほど、そう言われればそんな気がしてくる。それが千夜のことならなおさらだろう。
「そうだよね、なんたって千夜ちゃんだもん!よし、そうときまればさっそく千夜ちゃんを迎えに行こう!」
と、あたりを見回し、そして気づく。
パッと見たところではいつもの木組みの街だが、ここは三人が知る木組みの街とは何かが決定的に違っていた。
そう。
普段はこの街を鮮やかに彩る数多の建物達の色がすべて、いつもとはまったく違っていた。
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