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儚き想い、されど永遠の想い
327部分:第二十五話 強い一歩その二

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第二十五話 強い一歩その二

「ですからここにこうして」
「病ですか」
「病は辛いものです」
 八条家の主は言った。
「それは貴方も御承知ですね」
「生きていて病に罹らなかった者なぞいません」
 これが彼の返答だった。
「ですから」
「はい、だからそれではないでしょうか」
「では一体どちらが」
 それに罹ってしまったのかとだ。白杜家の主は考えた。
 そしてだ。次にはこう言った。
「どういった病に」
「それが問題ですね」
「そうですね。確かに」
「不安になってきました」
 自然にだ。二人はそう思えてきたのだった。
「この宴は幸せなものではない」
「それを知らされるやもと思うと」
 どうしてもだ。二人はそうならざると得なかった。義正と真理を見てだ。二人は考えていきだ。そうして不安なものを増していっていた。
 しかしだ。義正と真理はだ。
 今は伊上とだ。真剣な顔で囁き合っていた。
 周りから少し距離を置きだ。そのうえでだった。
 義正がだ。まず言った。
「では、です」
「それではだな」
「はい、もうすぐ家族の前に出てです」
「話すか」
「そうします」 
 強い声でだ。彼は言った。
「是非共」
「そうか。ではだ」
 その言葉を聞いてだ。伊上もだ。
 強い顔で頷きだ。応えたのだった。
「勇気を出して前に出ることだ」
「前にですね」
「後ろのことは気にしなくていい」
 前に出ようという若者にはだ。最も有り難い言葉をだ。伊上は今言った。
「それはいい」
「そうですか。それでは」
「そしてだ」
 伊上は今度は真理を見た。彼女もまた。
 蒼ざめてはいる。しかし確かな顔でだ。こう応えたのだった。
「貴女もまた」
「そうさせてもらいます」
「同じだ。後ろは気にしなくていい」
「そうしてですね」
「前に出ることだ」 
 義正と同じことをだ。伊上は真理にも言った。
「いいな。後は開ける」
「前に出ればそれで」
「それを信じて前に出ることだ」
「信じる、ですか」
「信じることは力だ」
 そういうものであると。伊上は。
 真理、そして義正に話してであった。さらに。
 今度は二人に対してだ。話したのだった。
「信じられる相手を信じる。それはだ」
「そうですね。では」
「家族を信じて」
「話して来なさい」
 温かい笑顔でだ。二人を送り出したのだった。
 こうして宴が進んだところでだ。周りから見れば不意にだ。
 義正と真理は出て来てだ。そうしてだった。

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