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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第28話 カシウスとの再会
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なくていい。俺は明日にはここを出る予定だから今日はここに泊まっていきなさい」
「すいません、迷惑をお掛けして……あ、そうだ。カシウスさん、フィーはどこにいるんですか?」
「……フィー?」
「はい、フィーも一緒に保護してくれたんですよね?」
「……リィン、落ち着いて聞いてくれ。俺が保護をしたのは君だけだ」
「……えっ?」


 俺はカシウスさんの言葉に頭が真っ白になった、フィーはいないって……


「ほ、本当ですか!?確かにフィーは俺と一緒にいたんです!」
「念の為に塔の内部や周辺も探したがいたのは君だけだ。そこにフィーはいなかった」
「そ、そんな……」


 フィーがいないと分かった瞬間体が震えだし今にも胃の中の物を吐き出してしまいそうになった。


「…………」
「大丈夫か、リィン?」
「……すいません、カシウスさん。もう平気です」
「しかし……」
「あの子も猟兵です、こういった事態は想定してます。今すべきなのは慌てる事ではなく落ち着いてどうするか考える事です……」
(……必死で心を落ち着かせている、昔の彼だったら躊躇なく飛び出したはずだ。彼も猟兵として成長しているのか……)


 俺はカシウスさんにそう言うが内心は直にここを飛び出してフィーを探しに行きたい衝動にかられた。でもそんなことをしてもフィーが見つかる可能性は限りなく低い、故に必死で心を落ち着けた。



「……カシウスさん、お願いがあります」
「……恐らく俺が考えていることを言おうとしてるだろうが……話してみなさい」
「俺をリベールに残してくれませんか?」


 俺の問いにカシウスさんは分かっていたかのようにため息をついた。


「……分かっているとは思うが君は猟兵だ。唯でさえこの国は猟兵に対していい感情はもっていないのに入国手続きもしていない猟兵がいる、もしこの事実が発覚すれば容赦なく捕らえられる。俺は君を知ってるのでこうやって保護をしたが本来なら捕らえなければならない」
「……はい」


 カシウスさんのいう事は最もだった。ちゃんとした手続きをしないでリベールに入り込んだ猟兵……こんな怪しい奴を捕えない訳がない。カシウスさんと知り合いでなければ即座に拘束されて尋問されていただろう。


「しかし俺も直にここを発たなくてはならない、君から事情を知ったルトガー君がリベールにフィーを捜索しに来るかもしれない、いや彼なら来るだろう。普通の猟兵団ですらそれなのに猟兵王が来るとなればこの国も大慌てになるな、さてどうしようか」
「あ、あの……カシウスさん?」


 カシウスさんは突然棒読みで演技を話すように喋りだした。


「仕方ない、ルトガー君には悪いがリィンをギルドで保護したことにしてフィーの事に
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