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Speed Demon −Speed of madness−
第一章 春愁秋思のプレアデス
第二話 チーム・プレアデス
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けがない。こいつの妄想だ。
「はあ…まだ自分の力を自覚していないようね」
 呆れ果てたような表情で言う。
「いい? あなたがeDENの部隊 “マーセナリー”の襲撃にあっても生きているのは、あなたにはそういう力があるからなのよ。よく思い出してみなさい、心当たりがあるんじゃない?」
 ――力。
 考える。
 あの銃撃から、逃げるのに役立った力。
 すると、一つの出来事が頭に浮かんだ。
 あのとき感じた、周囲の動きが感覚的に遅くなる現象―。
「まさか…あのスローモーション…」
「ようやくわかってきたみたいね。」
 彼女―立華 紗香―は一瞬笑顔を見せたが、
 すぐ真剣な表情に戻り、話を続けた。
「eDEN Corp に目をつけられた以上、このまま一人で生活するのは困難よ。
 買い物ひとつろくにできなくなるでしょうね」
「でも、私たちの学校、“六連星(むつらぼし)学園”とその周囲の街はまだ一度もeDENの戦いによる被害を受けていない」
「能力者にとって、ここが日本で一番安全な場所なのよ」
「だから私たちはこうして能力者の保護を行っている」
 一瞬納得してしまいそうになるが、すぐにそれをかなぐり捨てるように首を振った。

「でも待て……その先にあるのはなんだ? もしeDENに見つかったら? お前らは、何をしたいんだ……?」
「私たちが何をしたいか、って?」

「それはもちろん、eDENの崩壊に決まっているじゃない」

「そんなこと……本当に可能なのか……?」
「気を失ったあなたをここまで連れてきたのもそうだし、今のところはeDENにはそれなりに対抗できてるわ」
 さっきのeDENの襲撃のことを思い出し、戦慄する。
 それがeDENによるものかどうかはともかく、俺の命が危ないのは確かか…。
「あなたは対eDENにおいて非常に強力な能力を持っている。
 それを見越して、あなたをこのチームに勧誘するわ。あたし達のチーム “チーム・プレアデス”に――」
「あなたにはこの同じ学園の生徒としてだけでなく、同じ“戦士”として戦ってほしい」
 俺が…戦士として…? 特殊能力者のために?
「まあ、まだ目が覚めて間もないから混乱するのも無理ないわ。少しずつでも、この環境に慣れていきなさい」
「そして…戦うのか……eDENと…」
「そうよ、共にね」
 女生徒が手を差し出してくる。

――俺は、その手を握った。

「じゃあ、改めて、私は立華紗香。
 このチームのリーダーをしているわ」
「ようやく仲間っつーわけだな」
 飄々とした声の主がスマホから顔を上げて言う。
 今まで一言も話さなかったが、俺と立華が話している間、こいつは熱心にスマホを弄っていたらしい。
「彼は雨宮(あまみや) (あきら)くん。遅刻ば
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