入学編
入学
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ズ−−は魔法の才能を大きく持っていた。
“七草家”はその、数字付きの中でも頂点に立つ十師族の一員で、最も力を持つと言われている二家系のうちの一つである。
七草真由美……おそらく七草の直系の血を引き、第一高校の生徒会長も務める、エリート中のエリートだ。
−−−滅ぼされた家の血を引く自分とは正反対。
−−−出来損ないで欠陥品の自分とは正反対だ。
そんなことを考えながらも、深紅と達也は名乗り返した。
「俺……いえ、自分は司波達也です」
「わたしは不知火深紅と申します」
名前を告げるだけの簡単な自己紹介。
それに対して真由美は、
「あなた達があの、司波達也くんと不知火深紅さんなの?!」
大袈裟と言える反応を返してきた。
だが二人とも、“あの”という言葉は大体想像できていた。
−−−どうせ、主席入学で総代を務める妹を持ちながら、まともに魔法を使えることができずに二科生になったという意味の“あの”だろう。
−−−どうせ、滅ぼされた筈の家系である不知火の苗字を持ち、また、それほど強力な血筋を持ちながら二科生となったという意味の“あの”でしょうね。
しかし、真由美はそんな2人の考えを見事に裏切った。
「先生方の間では、あなた達の噂で持ちきりよ?
入学試験、七教科平均百点満点中九十六点と九十四点。
特に圧巻だったのは、魔法工学と魔法理論。合格者の平均が七十点にも満たないのに、二人とも、小論文を含めて文句なしの満点。学校が始まって以来、前代未聞の高得点だって!」
よくそんな言いにくい台詞を一度も噛まずに言えますね?と、突っ込みたくなるほどの早口で、真由美がまくし立てた。
なんの偏見も感じられない、純粋な感心。手放しの賞賛に、深紅はなんとなく気恥ずかしさを覚える。
しかし達也はそんなことを感じなかったようで、
「ペーパーテストの結果です。実技はこの通り」
かすかに自嘲的な笑みを浮かべ、なんの刺繍もされていない左胸を軽く叩いた。
「それでも……たとえわたしが同じテストを受けたとしても、あんな高得点は取れないわよ?」
真由美がかすかに笑みを浮かべてそう言った時、
「かいちょ〜〜」
可愛らしく、真由美よりさらに小柄な女子生徒がこちらに走り寄ってきた。
「会長。自分たちはこれで失礼します」
達也がそう言い、深紅は小さく会釈をする。
真由美はまだ話したそうな顔をしていたが、そこはあえて無視し、二人は入学式の会場である講堂に向かって歩き出した。
??????
真由美と話し込んでしまった所為か、講堂に着くと既にほとんどの席が埋まっていた。
「見事なほどにくっきり分かれているわね」
深紅が言っているのは席に着いた生徒のことだ。
前半分は一科生。
後半分は二科生。
どこに座るかは自由のはずなのにここまでく
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