入学編
入学
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「やっぱり、竜也?!」
はっきりと確信を持ってから少女がそう言うと、少年の顔にも驚きの表情が浮かんだ。
「燈火、か?」
驚きながらも告げられた、自分のもう一つの名前に少女は嬉しそうな笑みを浮かべた。
「うん、そうだよ。久しぶり……というか二週間ぶりだね。竜也」
「あぁ、久しぶりだな。燈火も魔法科高校に入学していたのか」
「うん、竜也と同じ高校に入れるとは思わなかったよ。あっ、隣座っていい?」
「勿論だ」
ありがとね、というように微笑んでから、少女は少年の隣に腰掛けた。
「竜也も、わたしと同じなんだね」
そういう少女の視線の先には、なんの刺繍もされていない左胸。
「俺は実技が苦手だからな。だが燈火なら十分一科生になれると思うが?」
怪訝そうに尋ねられて、少女はクスリと笑った。
「わたしはほら、CADの操作が苦手だし、振動・加速以外できないから」
少女の言葉に、少年が納得したように頷く。
「あと、ここは隊じゃないから本名で呼んでほしいな」
「火神 燈火、は本名じゃなかったのか?」
「うん。わたしの本名は、不知火 深紅っていうのよ」
「不知火?あの、不知火か?」
少女−?深紅−−の言葉に、少年がかすかに驚きを示す。
「そう。あの、不知火だよ。まぁ、驚くのも無理ないよね?不知火は滅びたと思われている家系だし」
「不知火はまだ滅びていなかったのか?」
「ううん。わたし以外はもういないよ?わたしが最後の不知火。唯一の生き残りなの」
「そうだったのか……悪いことを訊いた。すまない」
「竜也が謝ることないよ」
「……俺の本名も大黒 竜也ではないんだ」
「えっ、そうなの?」
「俺の本名は司波 達也だ」
「司波達也……そうだったんだ。じゃあこれからは達也って呼ぶね?」
「あぁ。俺も深紅と呼ばせてもらうな」
達也の言葉に、深紅は嬉しそうに頷いた。
そして、ふわぁっと小さなあくびをする。
「眠そうだな?」
「……うん。昨日なかなか眠れなくて」
「まだ時間はあるし、寝ててもいいぞ?」
「そう?じゃあお言葉に甘えて。おやすみなさい」
そう言って深紅は目を閉じた。
よほど眠かったのか、すぐに小さな寝息をたて始める。
すると、読書を再開しようと端末を開いた達也の肩に、軽く重みがかかった。横を見ると、案の定、深紅が達也の肩に頭を乗せて眠っている。
−−−っ!無防備すぎるだろう!
間近から見る深紅の可愛らしい寝顔にある感情が湧き上がってくるが、それを無理矢理ねじ伏せて、達也は読書に没頭することにした……。
??????
「深紅、そろそろ起きろ」
入学式の時間が近づき、達也は未だ熟睡している深紅に声を掛けた。
「んん〜?もうすぐ入学式?」
「あぁ、会場ももう開かれているだろう」
その言葉に、若干未覚
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