第四章 暗闇の亜空間
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う、そうなのでござる。
ほんと、いい歌なんだあ。
特に二期のはよか……
「特に二期のはよかったよね」
かぶったあ!
「編曲が最高でござるよ。ニンニン」
うお、本当にニンニンとかいってる!
香奈ちゃんのいってた通りだあ。
つ、次っ、次はっ、やぶさかでないとかっ、とかっ、いいそうっ!
「まあトゲリンと八王子のいう秀逸さは、曲の調べ、に関していうのであれば、おれも同意するにやぶさかではないが」
ほんとにいったああああ!
って、一人で興奮しちゃったよ。バカか、わたしは。
……しかし、やっぱりこの三人は目立つなあ。初めて見たきり全然出会わなかったけど、いざこうして遭遇してしまえば、本当に目立つ。
存在感は、あんまりなさそうなんだけど。日陰が似合いそうな感じで。わたしもだけど。
矛盾してるけど、そう思う。
こうしていつもいつも、熱く楽しそうに、アニメの話なんかしているんだなあ。
いいな。
混ざりたいなあ。
「『ふ、甘いな、なぜ気付かない? 神はすでに死んでいることに』ってとこだよね、確かそれ」
「その通りだが、しかし違うでござる、抑揚がまるで。『神はすでに死んでいることに』でござるよ」
「もっと似てない!」
いやいや、もっともなにも、二人とも抑揚まったくダメでしょ。
ああ、いいたい、わたしもその台詞、いってみたい。ゼフィル様のその台詞、いってみたいっ。
しかしこの人たち、よくここまで自分を開放できるよなあ。
わたしには、無理だ。
生徒行きかう学校の廊下で、ござるとかニンニンとかいいながら大声でアニメキャラの話をするだなんて、とても。
漫画やアニメの話なんて、周囲は誰も興味のない人ばかりというのもあるけど、そうでないとしても、つまりそういう仲間がいたとしても、さすがにここまでは出来ないな、わたし。
声優になりたい一心で、家では必死に練習している。それを家族は知っている。という、それにしたって、恥ずかしいから家族にはなるべく聞かれないようにしているくらいだというのに。
まあ、「アイドリ」を観る時だけは、つい家族みんながいる居間でハイテンションに手を振り回して大声で歌ってしまったりもしちゃいますけどお。
「抑揚といえば、ほのかちゃんのさあ」
出た!
敦子の小さな胸が、どん、と高鳴った。
例の、あれだ。
あの、たぶん自主制作の、たぶんアニメ、の話だ。もしかしたらゲームとか芝居とか他のなにかかも知れないけど。
でも、自主制作という言葉はよく聞くけれど、高校生にそんな技術なんかあるのかな。
漫画の同人誌ならそりゃ描けるだろうけど、それがアニメになるとハードルが一気に数千倍も跳ね上がりそうな気がする。
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