ペルソナ3
1967話
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、そうそう出来ないんだからな」
そう言うも、考えてみればゆかりは桐条家に連なる家の出だ。
今でこそ母親と縁遠くなっているが、小さい頃はこういうパーティに参加した事があっても、おかしくはないか。
「分かってるわよ。マグロの表面だけを焼いたのとか、あっさりしてて美味しいわよ」
「鰹の叩きみたいな感じか」
「うーん、似たような感じだけど、味は和風じゃなくて洋風ね」
そんな風にバーベキューを味わいつつ、言葉を交わす。
「そう言えば、俺はバーベキューってこういう串に刺した料理だって認識だったんだけど、正確には外でやる焼肉もバーベキューって扱いになるんだよな」
「ああ、そうらしいわね。でも、バーベキューってくらいだから、やっぱり串に刺してる方がそれっぽいけど」
「箸とかもいらないしな」
「そうね。……あ、でもほら。アイギスは有里君の為に具材から串を抜いてるわよ?」
そう告げるゆかりの言葉に視線を向けると、そこでは実際ゆかりの言葉通りの光景が広がっていた。
焼き鳥もそうだが、バーベキューとかって串で刺している状態で食べるのが美味いと思うんだがな。
勿論その辺りは人によって認識が違うので、確実にどうこうといった事は言えないのだが。
「ビールの入った缶を鶏とかに突っ込んで焼く料理とかもあるらしいけど……一度食べてみたいと思わないか?」
「……それ、本当に美味しいの? とてもじゃないけどアクセルの説明だけだと、美味しそうには思えないんだけど」
「俺もそう思う。ただ、ビールの炭酸とかアルコールとかそういうのが影響して、肉質がかなり柔らかくなるらしいけど……絵面的に、ちょっとどうかと思うよな」
しみじみと告げると、ゆかりも同感だといった感じで頷き……
「うおおおおおおおおおおおおおおっ! マジっすか!?」
突然聞こえてきた順平の驚愕が混ざった声に、視線を向ける。
するとそこでは、かなりでかい……それこそ、俺の掌よりも大きなアワビを、そのまま網の上に置いている光景があった。
「うわ、本気ででかいアワビだな。あれ、店で買ったら数万円するんじゃないか?」
「……踊ってるわね」
ゆかりの言葉通り、網の上に置かれたアワビは踊っていた。
正確には炭火の熱さを嫌がっての……断末魔に近い動きなのだろう。
アワビそのものが大きいだけに、その動きもダイナミックなものになる。
そうして10分程が経ち……ようやくアワビの動きが止まったところで、メイドが切り分けていく。
アワビのステーキ、だな。
肝醤油をつけて食べるその料理は、シンプルなだけに非常に美味い。
それこそ、出来ればもっと食いたくなる程に。
「美味いな、これ」
「ええ、アワビとは思えない程に柔らかいし。……
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