15話→ターニングポイント
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うなったか、言うまでも無いだろう。
篠ノ之束による拒絶により、その願いは断られる。
で、当然槍玉に太郎と自分は挙げられた。
現時点で作った500に満たないコアが全てで、それ以上の量産の見通しは不明。
工場で外装となる装備品は作り、その出し入れの際に使う一部の技術(量子化等)は個別に特許を取得したが、拡張性等も機密。
これではどんなに機能が良くても、売り物としては失格だと。
だが、これでも私はここまで企業を維持してきた立役者である。
一部の維持費等を採算がとれるまでポケットマネーで支払う等の措置を講じ、ここまでは文句を言われながら企画を引っ張ってきた。
まあ、奴等の気持ちは分かる。
製造した商品は稼働はしているものの、現時点では『四桁に満たない初期ロット以外、作る見通しが分からない謎の兵器』である。
ハイパーセンサーや絶対防御など、オーバーテクノロジーが多数使われているというメリットを考えても、商品として見る以上、数を作り、売らなければ意味がないのだ。
その点から見ると、このISは性能面では合格だが、販売面で見ると不合格である、と言える。
「全く、太郎君には頭が下がるよ。あんなキチガイの相手を、何年も続けているのだからね」
『貴方も含めてね』
虚空に放った時法の呟きに、何処からともなく聞こえてきた女の声が応えた。
気づけば、時法の後ろには、一人の少女が。
その姿は、息子のAI、アリスに似ていた。
髪の色が黒髪で、その服が黒のワンピースであることを除けば、瓜二つと言っても過言ではない。
だが、それ故に。
その顔に宿る邪悪な笑みが、本来のアリスとの違いを際立たせていた。
「なんだね、盗み聞きかね、『クリス』」
そう答える時法の顔に動揺はない。
まあ、息子を騙してアリスのデータをフルコピーし、この形に成長させたのは時法なのだから当然だが。
『まあね……それにしてもずいぶんと乱暴なこと言ってたじゃない。本当にあんな穴だらけの作戦、やる気なの?』
「やるわけないだろう」
さらりと、時法はクリスの問いにそう答えた。
「先程まで太郎に長々と、説明していた暴論は簡単に言えば『罠』だよ。しかも慎重な人間が引っ掛かりやすい類のね」
子供に言い聞かせるように、時法は続ける。
「太郎は私の暴論を聞いて考えるはずだ。実際に私がこの妄言を実行する確率を。そして必ずこういう結論に達する。『亡国企業』の世界各国への影響力の全容がわからない以上、『可能性はある』と」
そこで出てきたのが、彼が放った『テロリスト』発言である。
「あれは私を含めた『亡国企業』に対する警告だよ。もし自分の大事な人間たちに手を出せば、テロリス
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