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儚き想い、されど永遠の想い
317部分:第二十四話 告げる真実その六
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第二十四話 告げる真実その六

 二人で左右に並んだ席に座りだ。義正は真理に話した。
「この楽器が支那の楽器です」
「よく本にも出て来るですね」
「それです。こうした楽器の曲もです」
「聴ける様になりましたか」
「支那の音楽もいいものですね」
 義正は微笑みこんなことも言った。
「落ち着いていて」
「そうですね。日本や西洋のものばかりではなく」
「やはり支那の音楽もいいです」
 そうだとだ。義正は話すのである。
「そして料理もですね」
「私達がこれから食べる」
「それに文化自体も」
「支那はいいのですね」
「そのことは否定できないです」
 かつて干戈を交えそして今は動乱の中にあるだ。それでもだというのだ。
「今は確かに動乱の中にある国ですが」
「それが長引いている様ですね」
「そうです。ただ」
「ただ?」
「広州に面白い人物が出ています」
 義正の話は支那事情に関するものに移ってきた。支那文化から。
 その広州と聞いてだ。真理は夫に問うた。
「広州というのは」
「支那の南でして」
「南ですか」
「上海よりさらに南の海岸の地域です」
「そこが広州ですか」
「はい、そしてその広州にです」
 どうかというのだ。その広州にだ。
「蒋介石という人物が出てきました」
「蒋介石というのですか」
「あの革命を起こした孫文の部下になります」
 真理にわかりやすい様にだ。義正は彼について簡潔に話す。
「その人物は中々の人物だそうで」
「ではその蒋介石という人が」
「何かをするかも知れません」
 既にだ。義正はそうした話を聞いていた。
「あの国も何時までも動乱が続くとは思えませんから」
「また統一されるのですね」
「はい、やがては」
 そしてだ。その統一するのがだというのだ。
「若しかすると蒋介石によってです」
「為されますか」
「そうかも知れません」
「そうですか。支那も動いているのですね」
「この世で動かないものなぞありません」
 国や人ばかりでなくだ。あらゆるものがだというのだ。
「ですから」
「そうですか。では」
「私達もですね」
「そうですね」
 今度はだ。二人の話になった。
「決めたのですから」
「その時になれば」
「言いましょう」
 毅然とした顔になり。真理は言った。
「二つのことを」
「私達の子供と」
「私の病のことを」
「そして」
 その二つと共にだ。さらにだった。
 義正がだ。そのことについて言った。
「最後の最後まで共にいることも」
「言いましょう」
「労咳だからといって座敷牢に閉じ込められることはもうあってはなりません」
 義正はそれは否定した。
「何があろうとも」
「最早それはですね」
「あってはならないこと
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