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未来から【タイム魔人】で現代日本にタイムトラベルした私
未来から【タイム魔人】で現代日本にタイムトラベルした私
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)と、九千九百九十九会議室で詳細な打ち合わせをした。その後、九名の医師チームが、理解を超える器具類を見事に操って、私を人体改造した。私が時間遡行する時代、二千四十年の標準的な日本人男性――身長百八十八センチメートル、体重九十キログラム、どこにでもいそうな目立たない容姿に変身した。もちろん、この世界に帰れば、元の体に再び改造してもらうことができる。その後、千百九十九室で【タイム魔人】と初めて会わせてもらったが、我々と別段変った所のない、普通の妖艶な女性形アンドロイドなので、ある意味安心した。
 歴史を変える行為は絶対にしないことを、我々の信ずるヒンズー教の経典に四度誓わされた。その後、即座に、タイム魔人は私の額に両手を当てて、何やら呪文を唱えだした。
 かなり強い口調で私の目を見て言った。
「今から、五年後の四時から五時に、緑の渦が出現するから、必ずその渦に入るように……。そうでないと、貴女は、その時代に取り残されてしまいます。残念ながら、今の私の技量では、貴女が乗り移る相手を選別できないのです。最後に確認しますが、年齢、男女、性格、経歴……などを、選べませんが、それでも過去にタイムトラベルしますか?」
 私は、きっぱりと承諾の意志を示した。このことが、私に怖ろしい災厄をもたらすとは、この時は考えもしなかった。
 タイム魔人は、部屋が壊れそうな大声で、新たな呪文を唱えた。一瞬、ドキとして心臓が飛び出しそうになったが、次第に優しさに全身包み込まれ、まるで胎児のようにまどろんだ。古い時代の経のような気がし、眼を固くつむっていた。大きな渦の中にいるような気がしたのも、ほんの一瞬だった。うっすら目を開けると、緑の渦の中で回転していた。身体は緑色の奈落に落ち、私は意識を失った。

 私は、兵庫県神戸市の阪急電車三宮駅の北側を、トボトボと歩いていた。五秒だけ、同時に別々の二人が存在したのだ。私と私が乗り移った男だ。一瞬、何だか妙な違和感と恐怖を覚えたが、すぐに自分が過去にタイムトラベルしたことを思い出した。辺りを見回すと、何人かが私、すなわち男の顔を見て変な表情をした。が、私は、知らん顔をして無視することした。早足に歩いて、三宮地下街に続く下りエスカレーターに飛び乗ったのだった。いろんな店を見ながら、私からすれば昔いた人達のセンスと好みの傾向を一時間ほど、じっくりと研究した。
 その後、満員に近い喫茶店に入り、観測がてらコーヒーを飲んだが、苦くて吐きそうだった。だが、この時代の味に慣れようと、我慢して飲み干した。
(この時代に早くなじまなくては……)
 平日の午後四時頃で、まわりは、お喋りに夢中になっているオバサンを除くと、サラリーマンらしき人が多い。彼等の大半は旧式CPのキーボードを叩き、時々天井を見ながら、考えていた。つられて、私も見
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