ほーじょーのおんなしゅじん
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よベル・クラネル」
「は、はい」
運ばれてきた料理をリヴェリアの膝の上で食べているベルは、その容貌を相成って、小動物のような可愛らしさを醸し出していた。
ほとんどの者がその様子を微笑ましく眺めていた。
「うゆ?どうかされましたか皆さん?」
「ベル・クラネル君」
「はい!」
「じゃぁ、入団試験と行こう」
「わ、わかりました」
ここで幹部の面々はフィンが悪戯をする気だと思い至った。
ロキファミリアは基本的にロキのスカウトで集められた集団だ。
入団試験なぞある筈もない。
だがそこはかの悪神ロキの子。
毒されているのだろう。
「ではまず一つ目だ」
「はい」
「ここに居る女性の中で誰が一番魅力的にうつっているんだい?」
「ふぇ!?」
フィンはニコニコしながらベルを見つめていた。
このテーブルにいる女性はロキ、リヴェリア、アイズ、ティオナ、ティオネ、レフィーヤ、ともう一人の六人だ。
「え、えぇっと。あの、その、えっと…」
顔を赤くするベルを『可愛い』等と思っている面々。
するとベルがポツリと答えた。
「え、えっと…アイズさん…です」
ベルがチラチラとアイズの方を見る。
「それは何故だい?」
「そ、その…宝石みたいに綺麗な瞳だなぁって…」
それを聞いて、アイズが少し照れくさそうにしていた。
もっともアイズ自身その感情が如何なる物かはわかっていないのだが。
「うんうん。じゃぁ二つ目、君の年は?」
「今年で14歳になります」
「ベルは嘘ついてへんでぇ。
なぁなぁ、リヴェリアの胸の感触はぁ?
さっきは聞きそびれたからなぁ…」
「のっのののノーコメントで!」
ベルとしては意識しないよう努力していたのをロキの一言で意識してしまったのだ。
「では最後だ」
「はい」
「君は、どうしてオラリオに来たんだい?」
「冒険者になるためです」
「どうして冒険者に?危ないよ?」
ベルは、フィンの目を真っ直ぐに見据えた。
「僕は、僕は、英雄になりたいんです。
僕は、小さい頃、祖父に救われました。
その背中が、僕には英雄に見えた。
だから、僕は、英雄譚に出てくるような英雄じゃなくてもいい。
誰かを救える。
誰かの為の英雄になりたい」
ベルの真っ直ぐな瞳。
フィンは、その紅い瞳に呑まれそうになった。
フィンが口を開きかけた時…
「あっはっはっはっはっは!
ひゃはははははははは!」
誰かが感情の無い笑い声を上げた。
「くくく…」
笑っているのは、ベート・ローガ。
ヴァナルガンドと呼ばれる『女』だった。
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