暁 〜小説投稿サイト〜
名探偵と料理人
第二十一話 -初恋の人想い出事件-
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死ぬなんて想像できへんからなあ。怪我とか火傷とかの心配はしとるよ?でも龍斗なら麻美さんを無事に救出して出てくるって信じとりますから。……ただ、派手に出てこーへんかなって心配もしとるかな?」

……はあ、すごいなこの二人。こんな事態なのに思わず感心してしまった。
――ドン!ドンッ!!

「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」
「何だ、今の音は!?」
「爆発音!?でも火の勢いは変わらないわよ!?」
「ほら、出てきた。新一君も聞こえるやろ?かわらを踏む音が……やっぱりとんでもないとこから出よったなあ」

その言葉に耳を澄ませると確かに微かに瓦を踏みしめるような音が聞こえた。でも本当にわずかで火事の諸々の音にかき消されて気のせいではないかと思えるくらい小さな音だぞ!?龍斗もそうだが紅葉さんの耳も相当鋭いな!?

「小五郎のおじさん、上だ!!」
「上ぇ!?なんのこと……!!」
「な、なんだ!?」「え!?」

オレがそういったと同時、二階建ての別荘の屋根から麻美先輩を抱えた龍斗が飛び降りて、皆の前に重力を感じさせない着地を披露した。

「ただいま戻りました」










「天井をぶち抜いて、屋根に出た!?」
「いやあ、麻美先輩を確保したまでは良かったんだけどさ。四方を火に囲まれちゃって。強引に突破しようと思えばできたんだけど先輩が大火傷しちゃうしどうかと思ってね。奇跡的に火傷とか負ってなかった状態だったし。なので、火の回りがまだ少なかった天井のある箇所をぶち抜きて二階から出ようとしたら火の海だったんでもう一回ぶち抜いて屋根からぽーんっと」
「いや、三階相当から飛び降りて無傷ってのも……ああ、龍斗君、普段まともだから忘れてたけどたまにとんでもないことやらかすんだった」
「あはは、そういえば。新一や私がいっつも子供レベルでバカなことしてたけど龍斗君がするのはスケールが違っていたわね……」
「龍斗、今日は仕方ないけど自重せなアカンよ?」
「……はい。あ、でも蘭ちゃんが特攻しようとしたのは忘れてないからね。もう少し火が弱かったらイケたかもだけどあんま無茶しちゃだめだよ?」

俺は今麻美先輩が搬送された病院にいた。先輩の付添と流石に無傷とは言えず俺は火傷を負ったため治療を受けるためだ。そして、治療を終え、先輩の病室に来たというわけだ。現場を離れる前にここにいない小五郎さんと新ちゃんには俺がしたことを伝えて、現場検証の時に警察の人が天井にあいた穴について困惑しないように説明を頼んだ。……説明、できるんだろうか?

「でも、よかったわよ。麻美先輩は軽い一酸化炭素中毒で命に別状はなくて。それにしてもさっき麻美先輩が言っていた「ごめん、ごめんね工藤君」ってどういう意味だろうね、蘭?」
「うん……」

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