第十九話 -名家連続変死事件-
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んなんていませんでしたよ?俺が光明さんを取り押さえているのはバルコニーから入ってきた俺に包丁を振りかざしてきた人を抑えたら光明さんだったからです」
「そ、それは本当かね?龍斗君」
「ええ、『なんで一人芝居なんてしてるんですか光明さん?』っていったら随分と殺気立った様子で」
「ひ、一人芝居?」
「……」
「まあ、とりあえず彼を会長の部屋に連れて行きましょう。そこにおいてあるフック付きのロープも持ってね」
「そ、それは……」
その後、全員で会長さんの部屋に戻った。部屋には日向さんと会長さんと途中退席した長女の信子さんがいた。
「あら?どうかなさいましたの?そんな大勢で」
「あ、ああ。ちょっとしたことがありまして」
「その事情を聞こうと思ってこの部屋に戻ってきたんですよ。日向さんに聞きたいこともありまして」
「わ、私にですか?」
……苛立ちか。俺が光明さんの部屋に飛び降りたのは日向さんにとっては想定外だったってことか。
「それで、なにがあったの龍斗にいちゃん」
「ああ……」
俺は俺が飛び降りた後の事を語った。部屋に入ると暗がりの中でニット帽と水泳キャップを外している包帯男を発見したこと。そして俺がさっきのセリフを言うと包丁を持って襲ってきたこと。俺がそれをさばきベッドに押し付けた時に揉み合いになったことで顔の包帯が取れて中身が光明さんであることが確定したこと。
「ちょ、ちょっと。あ、あなたはあの暗がりの部屋の中にいた包帯の男がなんで光明さんだってわかったのよ!?」
「あー、えっとですね。見ていた方なら分かると思うですが俺は身体能力はそこそこ高い方なんですよ。それで五感の方も鋭くて。部屋に入った時部屋の中にいたのは彼一人でしかもその香水で光明さんって分かったんですよ」
「そ、そんな……」
「……ともかく!!俺が聞きたいのはなぜ秀臣さんに化けてそんなことをしたのか。本物の秀臣さんはどうしたのかを聞きたくてここに連れてきたんですよ。日向さんにもね」
「……え?」
「だって、今日俺に会釈した秀臣さんって日向さんでしょう?俺、最初は顔に怪我をした女性だって勘違いしてましたしね。なのに武さんは秀臣さんって言うし。そこら辺の事情を聞かせてほしいんですよ」
「そ、それは……」
「お、俺はその女に唆されたんだ。実は……」
どの道、日向さんから語られると思ったのだろう。光明さんがぺらぺらと喋りだした。
そこで語られたのは秀臣さんがすでに亡くなっていること。死因は自殺。それを発見したのは日向さんで遺書も見せられたこと。そして秀臣さんに罪を着せて長門会長を殺害しようという計画を持ちかけられたこと。今日の騒ぎは二階の部屋で秀臣さんに襲われたという事で人を日向さんが二階に集め、三階にあのフック付きのロープで上がり会
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