第十八話 -三つ子別荘殺人事件-
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しっかりと麻酔針を打ち込めたらしい。
そうして始まった推理ショー。すごいなあ、普段の園子ちゃんと全然変わらない口調だ。アリバイのトリックを暴き、犯人の長男、太一さんに真実を突き付けた。なるほどね。
理路整然とした言葉に観念したのか彼は傷害について認めた。動機は哲治氏が出版社に圧力をかけ太一さんの小説が売れなくなったこと、遺産目当てで殺害を実行しようとしたこと、雄三さんに罪をかぶせて遺産の取り分を多くするために顔は晒したそうだ。
「『小説家を続けるため』……か。そのために殺す覚悟で来たというのに。時計の盗聴器で聞いていたが、私にとっておやじは『障害』にしかなりえなかった。もしおやじが『壁』として立ちはだかっていたのなら私はこんなことをしていなかったかもな……まあ、緋勇君の言葉の通り私はハングリー精神というものが足りていなかっただけなのかもしれない。だから、『壁』を『障害』に貶めて…全てが未熟だったな……」
そう言うと、彼は連行されていった。寂しげな弟たちの視線を背中に浴びながら。
―
事件解決後、伊豆から東京へ帰る道中の車の中。
「よ、名推理だったよ新ちゃん」
「ありがとよ、龍斗。でもオメーや紅葉さんが探偵役をしてくれたらメンドーなかったんだぞ?」
「ごめんなあ、でもウチは他人の功績を貰うような真似したくないし、探偵として名を馳せる気もあらへんので。かんにんしてな?」
「紅葉に同じく、だな。……それにしても園子ちゃん?腕を気にしてるけどどうしたの?」
「そうそう、見てよ!この腕!!」
(っげ、麻酔針が刺さったのを気にしてるんじゃ)
「真っ白でしょう!?」
(はい?)
「はい?そら、綺麗な白やな?」
「せっかく小麦色に焼いて男ひっかけるつもりだったのに!!」
(ははは……そっちかよ。ばれたかと思ったじゃねーか)
「そうだ、蘭ちゃん紅葉ちゃん!これから日サロで焼きに行かない?」
「えー?今から?」
「だめよ、園子!これから一応警察で事情聴取あるんだから」
「えー。なによそれー」
「龍斗は白い肌と小麦色の肌どっちかええ?」
「んー、どっちも似合いそうだから見てみたいけど。日サロとかじゃなくて、今度また一緒に海に行ったら自然と焼けるよ。だから……」
「せやな。じゃあまた一緒に海に行こうな、約束やで?龍斗」
(はいはい、ごちそうさま)
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