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名探偵と料理人
第十八話 -三つ子別荘殺人事件-
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中継を見ていた会長さんだが、台風情報のニュースが割り込んできてクールダウンしたようだ。その際に今回の結婚から家族の愚痴になり、雄三さんが別荘から近くにあるという彼のアトリエに帰ってしまった。しっかし、「くだらん絵」ねえ。

「会長さん」
「――自分の歩む道が、間違っていたと気付くでしょう……っと、なんだい緋勇君」
「親が子供の幸せを考えるのはとてもいいことです。雄三さんも自分がどれだけ恵まれている環境で育っているかを知らない。底辺に生きていた人間にある飢餓感がない。……いえ、これは関係ないですね。ともかく、親として『壁』になることはいいことです。超えるべきものとして発奮できますから。ですが『障害』と認識されてしまうと、排除されてしまうかもしれませんよ?雄三さんのことなら例えば一度、本当に裸一貫で放り出してみたらどうですか?今までの自由は誰のお蔭だったか、そこが分かるだけでも違うと思いますよ?ただ、加減はしてくださいね?」

トリコ世界に転生した当初の泥水をすすっていた頃の『目』に、1000年の間に幾多の子供たちを育てた教育者としての『目』をそれぞれの会話の中で織り交ぜて会長さんに語った。会長さん以外に俺の目は見えていなかっただろうが、会長さんの様子から尋常な様子じゃないことを悟ったのか皆が固唾を飲んで様子をうかがっていた。

「ひ、緋勇君。君は何者かね?私は財閥の長として色々な人間を見てきたがそんな目を出来る人間なんて初めてだ。どういう生き方をすれば17でそんな目が出来るんだ……」
「普通の高校生ですよ?」
―波乱万丈の前世を送った……ね

その後ナイターが再開したが会長さんはあまり集中できなかったようだ……最初は。延長11回裏の激戦となったその試合のお蔭か、さっきまでの微妙な雰囲気も薄れ今度は会長さんの興奮具合を呆れる様子になっていた。

「お、おや、もうこんな時間か。じゃあワシは別荘に戻るとするよ。じゃあ、綾子さん明日は息子三人を連れてきますがよろしいですかな?」
「は、はい……」

そういうと会長さんは富沢家の別荘へ戻って行った。九時ごろから降り続いた雨は未だに続きなお激しくなっていた。

「ったく、明日もナイター見に来る気かしら?哲治おじさま」
「ねえ、園子。明日来る二人の息子ってどんな人?」
「知らなーい。その人たちパーティで見たことないし」
「せやねえ、ウチもおうたことありませんなあ」
「俺もないかな」
「なら、明日会うのが楽しみにね!私も雄三さんから少ししかお話を聞いたことないから…あらもう11時半。私たちもそろそろ寝ましょ…」

寝ましょうか、と綾子さんが言いかけた時、いきなり別荘の電気が消えた。

「あらやだ停電?」
「この辺一帯そうみたいよ?哲治おじさまの別荘も電気が消えてるみたい
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