第十六話 -資産家令嬢殺人事件-
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なった二年前の事件の方は解決できなかっただろうし」
「ああ。人を殺したなんて秘密を抱え込んでいたからこそ、安心する材料が欲しかったんだろうぜ。こんな秘密の共有、まっぴらごめんだけどな」
「まったくだよ……」
―
「そういや四井グループのご令嬢、殺人の疑いで逮捕されたんだって?」
後日、教室でいつものようにだべっていると園子ちゃんがそう切り出した。
「龍斗からきいとったけどウチらが招待されへんかったパーティで事件が起きて龍斗が昔の事件について暴いたって聞いたよ」
「そうそう、龍斗君が二階堂さんを攻め立てる姿、新一に似てて探偵みたいだったよ!」
「あんなの探偵じゃないって……言葉を羅列して反応がおかしいものを引っ張り出しただけだし。証拠を集めて突きつける新ちゃんとはまるで違うよ。そ、れ、に、俺は探偵じゃなくて料理人!」
「分かってる、分かってる。でもウチもそんな姿みて見たかったなあ」
「あはは、それにしても四井グループの会長さんも大変よね。意図していないとはいえご令嬢が証拠となるものを処分しようとしたことを手伝ってしまったみたいだし」
そう、あのテープとお互いの証言から二人がライフジャケットとボートを奪い八重子さんを殺したのは確定したのだが罪の発覚を恐れてその時に使っていたクルーザーやライフジャケット、その当時持って行っていたものすべての処分を会長さんが手配してしまっていたのだ。娘の「嫌な記憶が蘇るから」という言葉に対しての純粋な親心だったのは分かるのだが、どこかでマスコミが聞きつけたのかあることないことかいて囃し立てている。
「子供がしたことで親に迷惑がかかる、かあ。俺も四年前のアレ、一歩間違えていたらそうなってたわけだし俺達も気を付けないとね?鈴木財閥のご令嬢に大岡家の姫に、名探偵の娘さん?」
「もう茶化さないでよー。でもそうね。私たちもすぐにお父さんたちに飛び火することもあり得るんだしね」
「ウチはそんなことになったら叩き潰しますけどね。ウチはウチ!親は関係あらへん!!って」
「まあ、紅葉がそんなことにならないように俺が一生見張っているから安心してくれ」
「「「……」」」
あれ、またこのパターンか?
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