第十六話 -資産家令嬢殺人事件-
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「な、なを言うんだい?ボウヤ」
ナイスアシストだ、新ちゃん!!
「あなたが「死の絆」、それに「テープ」という言葉を口にして部屋から出る麗花さんを笑みを浮かべながら見ているのを目撃したんですよ。そして今の話。あなた、麗花さんとその話をしている時の会話を録音したテープ、持っているんじゃないですか?」
「な、なにを」
「確かに秘密を共有した仲だが男女の間柄っていうのはそう単純じゃない。万が一麗花さんが別の男に乗り換えたときの保険として、ゆすりのネタとして、あなたは事件の事を話したテープを持っているんじゃないですか?」
「で、でたらめだ!」
「ええ、でたらめです。ですが一度疑いがもたれれば警察も調査するでしょう。あなたの家に、……いや?もしかして今日も持ち歩いているんですか?車?いや、あなたの胸ポケットとかに」
「……」
心音を確認しながら言葉を並べていくと会話を録音したテープを持っているのは確定だった。場所についても「持ち歩き」「胸ポケット」で大きく反応していた。つまり、
「ちょっと失礼しますよ」
「や、やめ!」
溺死させられた後遺症か、抵抗しようにも弱弱しく動く二階堂さんからテープを掏り取るのは訳がなかった。
「このテープ、一枝さんを警察に引き渡す時に一緒に提出しますね?」
「くそ、くそう!!」
「二階堂……」
「あなたは最低の人間ですね、二階堂さん。助けてくれた八重子さんの死を、感謝することなく自分の糧にしようとするなんて。死人に口なし、なんて言いますが犯した罪は必ずどこかで報いなければならないんですよ」
その言葉を聞いて二階堂さんはがっくりうなだれた。しばらくして麗花さんが目をさまし、事の説明を行うと喚き散らしたが七尾さん(八重子さんはお孫さんだったそうだ)に一喝され、おとなしくなった。
夜が明け、迎えが来た。一枝さんを俺と三船さんが挟み、二階堂さんを六田さんと小五郎さんが、麗花さんを蘭ちゃんと五条さんで挟むように座り下山した。行き先を最寄の警察署にするように伝えた時は怪訝な顔をされたが殺人未遂があった事を話すと引き受けてくれた。
警察署につき一枝さんは殺人未遂の自首を、小五郎さんが警察署の人に二年前の事件についての証拠を提出し残りの二人も事情を聞かれることとなった。テープが証拠として認められれば二人も罪に問われるだろう……多分、お互いに罪を擦り付け合うんだろうなあ。すっげえ言い合ってたし。
「龍斗、お疲れ様」
「ああ、ほんとに疲れたよ。俺に探偵は向いてない」
「はは、にしてもスゲーよ、未然に殺人を二件も防いじまうんだからな!」
「俺の場合は感覚に頼ってのだから行き当たりばったりだよ。理路整然と詰める探偵とはわけが違う。今回も二階堂さんが用意周到にテープなんて持ってなきゃ発端と
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