第十五話 -6月の花嫁殺人事件-
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」
「ええ。ですが口をすすぎたいのですが。後、座って待ってもいいですか?」
「あ、ああ」
俺はそう言い、控え室にある椅子に座り、頼んで持ってきてもらった牛乳とバケツを使って口をすすいだ。
「た、龍斗君。大丈夫なの?」
「舌がひりひりするのと顔がただれただけだよ」
「だけって……それを見てウチが何も思わんと思うん?」
「……ごめん、無神経だった」
涙目で俺にすがる紅葉をなだめながら俺は犯人を見つめていた。カプセルについた匂いの持ち主はすぐに分かったがココには新ちゃんがいる。俺と同じくらい怒っている新ちゃんが。俺の役目は先生が死なないようにするところまでで後は新ちゃんに任せよう。
俺は先生の部屋に挨拶にきたが先生に近づいていないこと、ましてや毒の入っていたレモンティーに触れていないことから早々に容疑者から外れた。
新ちゃんがビデオの情報、そして乾燥剤入りの小瓶が外の廊下にあることなどから犯人を特定された。新郎である高杉さんが。
犯行の動機は20年前松本先生のお父さんに母親を見殺しにされたこと。家族を失う悲しみを味あわせるために犯行に及んだそうだ。
先生の友人である竹中さんから先生が過去の話を知っていて悩んでいたこと、そして先生の初恋の相手で……そして高杉さん自身の初恋の相手同士であったことが語られた。……それが本当なら……
高杉さんもそのことに思い至ったらしく、それと同時に先生の意識が戻ったことが伝えられ安心した表情で連行されていった。
―
数か月後、先生は無事退院した。後遺症もなく肌の荒れも化粧をすれば気にならないくらいの回復だった。
「先生、ほんとによかったです。元気そうで」
「ホンマに。見た目なんもなかったみたいや」
「それに、俊彦さんも罪が軽くなったみたいだし」
「当たり前よ!私が勝手に飲んだんだから!緋勇君もありがとうね。あなたのお蔭で命拾いしたわ」
「……先生」
「なーに?」
「先生が助かって本当によかったです。下手したら二人の命が無くなっていたんですから」
「へ?」
「……俊彦さんですよ。もし先生が死んでその後に竹中さんからあの事実を知らされていたら俊彦さん、きっと自殺していたと思います」
「あ……」
「先生、20年も想い続けるっていうのは並大抵の事じゃないんです、お互いになんて事はなおさら。だから些細な掛け違いで悲劇になるってのは今回の事で分かった筈ですから、これからについては何も言わないですけど。先生が最愛の人を殺したなんてことがありえたことを忘れないでください」
「…そっか、そんなこともありえたのね」
「ええ、ですがそれを知っているならもう大丈夫でしょ?今度こそ、披露宴の料理食べてくださいね!今より腕を磨いて待ってますから!」
「もう、結婚な
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