第十四話 -カラオケボックス殺人事件-
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
にぎりももったいないことをしました……」
「もったいないってオメーな……」
俺は男子トイレの扉が少し開いていることを確認して続けた。
「ただ、バンドメンバーの事は分かったんですけど。マネージャーさんに対してのことがどうしても分からなくて。『ドブス』って言葉にだけは本心であると感じました。結構美人だと思いますけど。……紅葉に似て、紅葉に似て!」
「あ、ああ。紅葉ってオメーの彼女の事か。……確かに今の麻理に似てたな。わりーな、オメーの彼女は美人だと思うぜ?」
「『今の?』」
「ああ、まあオメーには命を助けられたしな。麻理の奴、整形しやがったのさ。俺がプロに引き抜かれるときにマネージャーでもいいからって誘った後にな。人の目なんか気にして!オレは。オレは……」
「なるほど、ね。木村さんあなた」
「へっ、そうだよ!オレは麻理の事が好きだった!だからオレのためと言って顔を変えちまったあいつが許せなくて悲しくて」
……さて、と。もう頃合いかな
「だ、そうですよ?」
俺はそう言い、ずっとトイレの前で話を聞いていた彼女を招き入れた。
「ま、麻理!!?」
「た、達也。今の話は……」
「ホントの事ですよ。それに、木村さん。あなたに毒を仕込んだのは……」
「……私よ、達也」
「なっ!!!」
「私、私もあなたの事がずっと好きだった!!愛していたわ、バンドを一緒にしていた時からずっと!!だからマネージャーでもいいから一緒に来いよって言われた時はあなたも私の事をって…でも『レックス』を結成してからずっとブスブスって。私の事バカにするために入れたのかって思って!今日もあんな曲……だから、私」
「オレを殺そうとした……か」
「あなたがそんな風に思っているなんて知らなかった!私なんてことを!ごめん達也、ごめん…!!」
「ああ、オレも悪かった。悪かったよ、麻理……」
そう言って泣き出し彼にすがった彼女。悲劇をぎりぎりで回避することはできたが、数分後彼女は自首することを木村さんに伝えた。
木村さんは引き留めたが、自分のしたことの責任はとりたいと抗弁した彼女に対して木村さんが折れた形だ。彼の本心が聞けたお蔭か、彼の「待っている」の言葉ためか、警察に連れて行かれた彼女の顔は晴れやかなものだった。
木村さんは突然警察沙汰になったことに驚く、部屋に残った人たちに起きたことそして今までの思いを素直に告白した。
「なあ」
「はい?」
「ありがとうな、オレを助けてくれて。麻理にオレを殺させないでくれて」
「いえ。これから少しは言動に気を付けてくださいよ?」
「ああ、身に染みて思い知ったからな」
「それじゃあ……式の予定が決まったら俺に是非ご依頼を!」
「そういえば、オメー世界一のパティシエだったな。……ッハ、先の事なんてわか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ