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名探偵と料理人
第十四話 -カラオケボックス殺人事件-
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山田さんが無言で投げたおにぎりを受け取りそのまま木村さんがそのおにぎりを食べる―――前に俺はその手を取りおにぎりを食べるのを阻止した。

「お、お?なんだいきなり」
「た、龍斗君?」
「龍斗にいちゃん?」
「木村さん、ちょっといいですか?それから今使ったマイク絶対誰も使わないようにしてくれ。それから今この場にあるものの飲食も止めといてくれ『新ちゃん、彼の右手から青酸カリ特有の匂いがする』」
「!!わかった。ちゃんと見ておく」

すれ違うときに新ちゃんにだけ聞こえる声でそう言うと新ちゃんは真剣な顔になりそう返した。
俺の有無を言わさぬ勢いに気圧されたのか次の曲が始まっても誰も歌わず、またおにぎりを持ったまま俺に連れられて黙って部屋を出た木村さん。途中電話をかけているマネージャーさんが木村さんを見て、おにぎりを持っている右手を見て心音を乱していた。……そうか、彼女か。
そのままトイレにつきゴミ箱におにぎりを捨てさせた。

「……それで?いきなりナニすんだよ?初対面だけどキレんぞ?」
「その前に触れないように俺が抑えている右手、嗅いで見てくれ。一瞬な」
「なんだよ?……なんか匂うな?」
「この匂いは潮解を起こしたシアン化水素の匂いですよ。あなたの手には青酸カリ、猛毒がついている」
「!!!」

俺は匂いを確認させた後、木村さんの手を洗ってもらった。流石に自分が殺されかけたのが聞いたのか顔色を変え、酒も抜けた様子だった。

「じゃあ、あのまま食ってたらオレはお陀仏だったってわけか……克己の奴か?」
「いえ、右手についていたならその前にマイクを触っていた芝崎さんにも仕込めますよ」
「そっか……」
「ですが、違いますよ。それを仕込んだのは。木村さんバンドメンバー二人に対しての暴言は叱咤激励だったのでしょう?レックスが抜けてもやっていけるように」
「な、なんでそんなことわかるんだよ!?」
「俺は耳がいいんですよ。人の言葉に乗る感情、それが分かるんです。あなたの言葉には軽視や嘲りなどと言った負の感情を感じ取れなかった。陳腐な言い方ですが応援、心配、寂しさそれに愛情を感じました」
「……」

俺の言葉が的に居てはいるが根拠になることが、言葉に乗る感情という曖昧なものだったものに言葉をなくす木村さん。

「確かに、オレもシンガーだ。声に感情を乗せるっつうのはあるのは分かる。分かるが、罵倒の言葉にある裏のそんな感情を正確に読み取るなんてありえねーだろ?」
「意外とできるもんですよ?心理学者や詐欺師とかもね」
「だったらオメーはなんなんだよ?」
「ははは、ただの料理人ですよ。まあそれに気づいて素直になれない人なんだなあって思ってたんですけど。流石に目の前で食べ物に毒殺されそうになるのは止めさせてもらいました。そのお
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